「くちぬい」
板東眞砂子さんの書き下ろし
。わたくしの好きな伝奇もの、だと思うんだけど、なんだか中途半端なカンジだったナ~
。
古来伝わる土着信仰、山間部の集落の掟。のんびりした日本の田舎にロマンを抱いてやって来た都会人がその隠された掟を知らぬ間に破ってしまったのを機に巻き起こるパニックを描いて、日本のジメっとした恐さをうまいこと提示してきた板東さん。ここのところエロ
に走って行ったのでもう読むことはないだろうと思ったけれど、板東さんの伝奇ものが出たと聞くと、こりゃ聞き流すわけにはいかん
となっちゃうのは、やっぱり昔読んだ作品のインパクト
が強かったせいなのよね~
。
今作は、従来のジメジメキョーフに、原発事故の放射能恐怖
も加わった趣向がちょっと新しい
カンジなんだけど、肝心の「田舎の恐怖」にこれまでのような迫力っていうか、説得力がないのよね
。もちろん「伝奇もの」だから説得力がないっつったって、リアリティを求めるものじゃないけど、なんつーか、「掟」の背景っつーか、根拠がきちんと描かれてないせいで、その「掟」に従って行動しているという村人も薄っぺらく感じる
。小説の中では、その「掟」が変化しているという設定になっているからこそ、核となる「掟の背景」がしっかりしてないと、もうひとつのテーマであるところの「田舎の変容」もはっきりと浮かびあがってこないと思うのよね~
。
もひとつ、放射能汚染を恐れて東京から引っ越して
きた麻由子も、都会人の典型ながら重要なキャラなので、もっと突っ込んで描いてほしかった
。元々神経質なところ、「田舎の悪意」によってジワジワと追いつめられていく
あたりをもっとネッチョリと書き込んでほしかった。定年後の夢であった陶芸に打ち込む夫の語りはこの際、バスっ
と省いちゃって、夫ですら、麻由子の中での宇宙人のひとりになっちゃったりしても面白かったかも
。
福島第一原発の事故が創作のきっかけのようで、突き動かされるように書かれたのかもしれませんが、なんだか全体的に練り込み不足で、わたくしとしてはイマイチ満足できなかったワ~
。
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