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2010/10/11

「コロンバイン銃乱射事件の真実」

またひとつ「いい仕事」と出会えたワ~good。デイヴ・カリン著、堀江里美訳のエドガー賞犯罪実話部門受賞作book。かつてカポーティが「冷血」で受けた賞ですね。


わたくしの場合、事件そのものというよりは、マイケル・ムーア監督movieの「ボウリング・フォー・コロンバイン」の印象が強かったので、ここではどんな風に事件が扱われてるのか興味を持ちました。


たぶん訳文の効果も大きいと思われるけど、とてもバランスがよくって、著者のジャーナリストとしての節度と良心、知性が感じられますdiamond。犯人の行動を追ってく節と、被害者とその家族への影響を描く節とを交互に並べる構成も巧みだし、簡潔なのに暖かみのある文章が、共感と感動を生んでると思うわheart01


情報公開の面であらゆる失策を犯したng地元警察に対しても、決して激しく糾弾したりしないんだけど、それがかえって重たい追求になってるのよね。犯人2人に対しても、特にディランについては、強い自殺願望があるにもかかわらず2年間も迷った末に実行できず、主犯のエリックに引っ張られる形になってしまったことにかなり残念な想いを持ってることがわかるのねthink


一方エリックに対しては「サイコパス」であったことを、FBIの信頼すべきフュゼリエ捜査官の説を援用しながら、緻密なリサーチsearchによって積み重ねた状況証拠から丁寧に描いていく経過が鮮やかshine


サイコパスは2つの際だった特徴がある。一つ目は他人に対して非情なまでに無関心なことだ。彼らはささいな個人的利益のために人をだましたり、傷つけたり殺したりする。そして二つ目は、一つ目の特徴を隠す驚異的な才能だ。この偽装こそ彼らが危険なゆえんである。(中略)サイコパスは、ハンニバル・レクターやノーマン・ベイツ(「サイコ」の主人公)のようにふるまったりはしない。彼らはもっとも魅力的な役を演じているヒュー・グラントのようにやってのける。もんのすごくわかりやすしscissors


それとやっぱりなぁ、なのが熱狂的宗教活動に結びつく様子、なのよねー。「客観的事実」を認めない宗教って、いったい何なんスかねーsweat02。理解しがたいワgawk


感嘆するのは、どこまでが本心なのかわからないところではあるけど、アメリカ人の「公正な精神」。日本だと同じような犯罪が起こった場合、ほぼ一斉にドトーの如く「親の責任」を問うけれど、かの国では「親は親」と考える人が多いということ。被害者家族ですらそう考えてるのには正直驚くcoldsweats02。子育ては本当に難しいと思うし、このドキュメンタリーを読む限り、犯人の親たち(特にエリックの父親)は考えられる限りの措置は取ってたよう。ただエリックがサイコパシーだったとすれば、それはかえって逆効果だったってのがイタいところなんだけどweep


すごく考えさせられたのはメディアの働きについて。この事件において、メディアから流された当初の情報の多くが事実と異なるものだった。パニックimpactになった生徒たちの勘違い、思いこみ、混乱、そういったものがメディアによって増幅されon、それがフィードバックされてさらに生徒たちに誤った確信を植え付け…っていう負のスパイラルtyphoonを生んだらしい。それに地元警察の隠蔽主義、情報非開示が拍車をかける結果になったwobbly


地元民の、無責任なメディアに対する不信感thunderは相当なもので、生徒たちを守ろうとする報道規制に対し、「知る権利」を振りかざす不遜なメディアがなんと醜く見えることか。国民全員が、人権や危険にさらされてる命を踏みにじってまで何でもかんでもバカみたいに知りたがってると思ったら大間違いなのにannoy


この事件、犯人の両親たちから事情聴取した内容は20数年後に公表されるらしいので、まだ全貌はわからないままmist。直近での再発防止という観点からは無意味な気はするけど、その時にはもう一度デイヴさんに検証していただきたいと思うものですconfident

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