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2010/11/08

「街場のメディア論」

フランス現代思想、映画論、武道論が専門(って、結局なんなのかよくわかんないけど)の学者、内田樹氏の著作book。神戸女学院大学schoolでの講義をもとに加筆したもの。


一番最初に、メディア関係への就職を希望してる学生たちへ向けて「なぜ人は働くか」について話をしてるんだけど、もうン十年社会人として働いてるわたくしも、なるほどね~ってカンジ。つまり、「仕事とは自分のためじゃなくて、他人のためにするものだ」と。これは、この著作の最後にも出てくる“贈与経済”からの流れで、人間の社会を成り立たせる基本は、“贈与”と“ありがとう”という言葉である、ってことだそう。最近の新人は、1~2年で「自分の能力が発揮できない」なんつってすぐにやめちゃうけど、能力とは与えられた環境で開発されるものであって、んなすぐにわかるもんじゃねぇよ、と。いや、全くそのとーりだと思います。逆に「立場が人を変える」ってゆーネガティブな面ngもあるけどね~smile。そして、その能力の開発は、「他人のため」の仕事をする時に爆発的impactになされる。これもわかる。


中盤は、今の日本のマスメディア、テレビ、新聞に対する批判。この世界でもご活躍されてる方なので、一応愛のムチなのであって、非常に納得する内容ですね~think。テレビ業界では「何があってもテレビは必要だsign01」という説得力ある説明がどこからも聞かれない、と残念がる。「テレビはあってあたりまえ」という鈍感さmistがますます自分たちの首を締めていることにすら気づいてないのだと。


新聞へは、たぶんより期待が大きい分、もっとメディアの本質的な核心に触れられてます。「命がけの知を発信するのがメディア」の役割である、と。全くもってそのとーりなんだけど、マス・メディアの人間なんてサラリーマンだもん、命までなんてかけられるわけないじゃんねーgawk


なぜクレイマーが出現したか、っていう部分はめちゃ興味深かったなぁ。特に学校現場や医療現場でクレイマーが目立つ理由がよくわかるの。これも「商取引経済社会」と「贈与経済」へ帰着する話なのね~。


で、最後が出版業界の話。ここの部分は著作権についての主張があるんだけど、なんとなーく納得しがたい部分がある。内田さんの論を貫く「贈与経済」のスタンスからいうと著作権設定自体チャンチャラおかしい、と。社会に投げ出された著作物は、「これはスバラシいッsign01作者にお礼しなければsign03」という人が現れて初めてその著作物が価値を持つのであって、最初から著作権なんてもんはねーんだよ、ってことですね。う~ん、完全には納得しがたいthink。内田さんみたいに、自説を広めたい学者さんたちはそれでいいんだろうけど(特許を取らなかった鈴木章先生も同様かな?)、やはりオリジナルのクリエイション(完全なオリジナルってもんは存在しないって説もあるでしょうが)には何らかの敬意は払われなければならんのではないか、と思うんだけど。ま、それが最初から設定された著作権である必要はないのかも知れないけどね。映画movieをみた後、本bookを読んだ後に「金返せーッannoysign01時間返せーッpunchimpactsign01」ってことはしょっちゅうだからねーpout


全体を見渡してみると、やっぱり「商取引経済」に毒されてるわたくしには、イマイチ腑に落ちない部分はあるわけで。ここまでネオリベラリズムが進んでしまっては、もう後戻りするのは無理でしょう。確かに最近利益を追求するだけじゃない公共サービスに関わるNPOが若い人たちの間でムーブメントになってるようで、これは内田さんの唱える「贈与経済」に近いカンジはする。これが今後どこまで定着していくか、興味深いところだけどeye


この「贈与経済」の考えを援用すると、ゴッチャリいる団塊の世代の定年者はその知見をボランティアで社会に還元したらどうなんだ、そしてその分の働き口を若者に回してやれpunch、って常々わたくしが思ってる説もアリなんじゃな~い?


この後期資本主義の中で、めまぐるしく商品とサービスが行き交う市場経済の中で、この「なんだかわからないもの」の価値と有用性を先駆的に関知する感受性は、とことんすり減ってしまいました。は、その通り。ただ、この「先駆的に関知する感受性」を持つ一部の人間たちが、「なんだかわからないもの」をいかに金dollarに変えるかに血道を上げていて、そういう彼らをバカみたいにもてはやすのが現代のメディアのおシゴト、ってところだわね。

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