「大盛りワックス虫ボトル」
児童文学、YA(ヤングアダルト)文学作家の魚住直子氏の作品。
無気力で存在感の薄い公平、中2男子。ある日、飲み干したペットボトルの底に突然現れた小さな豆みたいな虫が公平に、「ひとを1000回笑わせろ」と命令する。それまで接点のなかった中2男子3人が、それぞれの理由から、トリオを組んで文化祭のお笑いステージに挑む、っつー内容ですね。
ヤル気ナシ男くんが仲間との共同作業の中で変わっていくというお定まりの展開の中、「お、今風?」って思ったのは、クライマックスでちょっと毒のあるエピソードが挟まれているところ。それを逆手に取って逆に自分たちの自信としていく
っていう筋書きなんだけど、やっぱりちょっと安易かなぁ
。
わたくし、ファンタジーは受け入れやすい体質なので、「虫」の登場には違和感ないんだけど、結構淡々と話が進むので、残念ながら感動もない。「虫」の命令に逆らうと、自分の言動がミュージカル風になっちゃう
ってのは笑っちゃうけど、これも古典だしなぁ
。「虫」の「よ~ん」って語尾もコドモダマシ
っぽいしなぁ
。本当に優れたYA文学(児童文学も)は、オトナも十分感動させられるもんだと思うんだけど…
。
「虫」が公平の幻覚ならば、彼は相当精神的に追い込まれてるはずなのに、軽い筆致なもんだから受け流しちゃうのよね~
。それとも「死にたくなる」ほどの苦悩をこーゆー風に表現せざるを得ないところが、「今のリアリティ」ってことなのかしら
?だとすると、今のこどもたちって本当に大変だなぁ
、と感じると同時に、やっぱ世代間ギャップがハゲシすぎて理解不能なんだわー
。
作者は同世代なんだけどなぁ。それともわたくしの感性がニブすぎるのかッ
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