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2011/07/23

「サウンド・コントロール」

作曲家・指揮者である伊東乾氏著book。サブタイトルは「「声」の支配を断ち切って」。古今東西、権力者による「声」の支配が如何に行われてきたか、その仕組みを解き明かしpencil、裏テーマに「裁判員裁判」に対する危惧を据えたヒジョーに興味深い本bell


もともとは、日本人が西洋音楽notesをやることについて、欧米人からの“軽蔑的批判”を退けるために、彼らですら理解してない、その精神の根元を探るsearchところからスタートしているため、ものすごい執念bombを感じるのよね。その守備範囲は古代ギリシア時代から現代まで、キリスト教の教義から日本の連如まで縦横無尽on。しかも大学時代の専攻が物理学だけあって、実証的なフィールドワークを伴った論考には説得力があるpunch。なんだか大学の教養のコマを取ってるみたい。まぁ、伊東さんに言わせれば、大学出てんならこれぐらい知っとけsign01ってレベルかも知れないケドsweat01


著者の両親が戦争で苛烈な体験をしていること、「地下鉄サリン事件」の加害者の一人が大学&大学院時代の親しい友人で死刑判決が下ったことなどが背景となって、「生命」に対する深い思考がこの作品の根底には横たわっているんだけど、どちらも権力者である「国」によって一個人の生命が危機にさらされる、あるいは「合法的に」奪われる、ということに、わたくしたちはもっと注意深くあらねばならないと警告してますdanger。よく考えろ、と。


ルワンダで行われたジェノサイド、ソクラテスに毒杯をあおらせた民衆裁判、キリスト教を利用してローマ帝国の全てを掌握した高級官僚にして司教のアンブロジウス、猿楽を演じて真宗の教えを強力に広めた連如、江戸時代の「裁き」。その「場」である建築物(メディア)を、ひとの精神に影響を与える「装置」としてとらえ、そのからくりを具体的に提示している。いずれも「声」によって民衆を思考停止に追いやるものだと。いや~、ほんとに今まで何気なく見てたキリスト教の協会内部や、銀閣寺の庭(ダイスキheart02)、時代劇でよく見るお白洲は、実はものすごくよく考えられた洗脳装置だったわけねーcoldsweats02。これで函館の復元された奉行所を見に行く楽しみも増えたってもんねwink。…って、そんなカルイ話でもないかcoldsweats01


以上をふまえ、様々な演出が加えられる「声」の洗脳を脱するためには、一度テキストmemoにして黙考する必要がある。そのテキストに、思考錯誤しながら自ら「息を吹き込む作業」が必要なんである、と。でもそこまで行くにもかなりの知的レベルが要求されると思うんだけどねwobbly


しかしこの伊東さん、「衆愚」ってワードがお好きらしく結構「上から目線」eyeなのが気になるbearing。そのくせ死刑確定の友人との話になると、急にベッチャリ湿っちゃうrainとこが、どーにもちょっと居心地がワルいのよねーdowndown

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コメント

かまど姫様の書評を拝読して気になったので読んでみました。

個人的にはもっと個々に建築学的な解説もほしかったなーと思います。特に教会の章あたりは。背景の説明の方が長くて、タイトルにもなっている肝心の「サウンド・コントロール」に直接触れた部分が少なかったのがちょっと残念です。

「一度テキストにして黙考する必要がある」という意見には大賛成です。声に出してうるさいだけで、文章にまとめるだけの意味を持たない発言をする人が周りにうじゃうじゃおりますので、なおさらそう思うわー。

そういえば「声が大きい奴の意見が正しいとは限らない」的なセリフが、三原順の「はみだしっ子」にありました。

投稿: kusabue | 2011/10/06 21時50分

kusabueさまsun
こんばんはーhappy01

「声が大きい奴の意見が正しいとは限らない」というのはまったくその通りですね。どちらかと言えば「間違ってる」ような気がする。それにデカい声を出すのは“小さいヤツ”でしょう。デカい声や恫喝で虚勢を張るimpact、的な。

そうですね~think。確かに建築に関する具体的な分析は物足りないかも。建築家あたりとの対談なんて面白いんじゃないかな~。

最近思うのは、私たちは「文書memo」を注意深く「読む力」がなくなってきているのではないかということです。だから「書く力」もない。映像や音もいいけど、「文書」をきちんと読めないのは人間として劣化することに繋がると思うんですよね~。自分も含めて反省、ですcoldsweats01

投稿: かまど姫 | 2011/10/07 00時16分

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