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2011/09/10

「ほとんど記憶のない女」

リディア・デイヴィス氏著、岸本佐知子氏訳book。2005年刊行。著者はもともとはフランス文学の翻訳者だそうですが、いくつか創作penもあるということで、日本ではこれがまとまった形で翻訳された初めてのものだそうnew。最初はちょっと戸惑ったけど、じんわりオモシロいデスsun


芸術とは「世界をどのように表現するか」ということにつきると思うけど、この作品を読んでいて感じるのは、どんなに言葉を積み重ねても、というより、厳密に言葉を駆使して記述しようとすればするほど、「世界」は指の間からザラザラとこぼれ落ちてしまう気がするってこと。


190ページの中に51編もの短編が並んでるんだけど、いわゆる一般的な小説ではない。一見随想のようで、そうでもない。あるものは詩のようだし、あるものは哲学的考察のようだし。ジャンル分けのできない不思議な作品群なのねconfident。なかには全ッ然理解できないものtyphoonやスルド過ぎてthunderコワいshockものもあるんだけど、全体的にものすごーく知的なユーモアがそこはかとなく漂ってるのよねclover。それこそ、モノクロのシュールなフレンチ映画movieを観てるみたい。文体も簡潔でリズミカルnote。静かな知的興奮が得られますgood


短いものを引用。『「認めない」  男は女が自分の意見を聞かない、と言った。女はそうじゃない、男が自分の意見を聞かないのだ、と言った。問題は網戸のことだった。ハエが入ってくるから閉めておくべきだというのが女の意見だった。男の意見は、朝一番はまだテラスにハエがいないので開けておいてもいい、というものだった。だいいち、と男は言った、ハエはほとんどが家の中から出てくるのだ。自分はハエを中に入れているというより、どちらかといえば外に出してやっているのだ。


おもしろいでしょnotes

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