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2011/09/07

「ポリティコン(上・下)」

桐野夏生氏著book。桐野さんの作品にしてはラスト、ちょっと甘かったcakeんじゃないかな~?


まるで今の日本の縮図のような、東北にあるコミュニティ、唯腕村(いわんむら)が主な舞台。大正時代、高邁な理念を掲げて建設されたユートピア的農業共同体が唯腕村で、その創始者の孫である高浪東一(といち)が第一部の主人公となってます。この、東一クン、めちゃくちゃ己の欲望に忠実でめちゃくちゃ直情的な、はっきし言ってウザウザ男ng。だけど、このアホさ加減が愛すべきっちゅーか、目が離せないオモシロさっつーかcoldsweats01。この丸出しの欲望が東一の生きる原動力horseなのよね。草食系男子とは対極にいる「動物的政治的生き物」。この東一を描き出す桐野さんの筆致penがなんだかすっごく楽しそうにねちっこいsmile


そして第2部の主人公が中島真矢ちゃん。複雑な人間関係の狭間から天涯孤独の身になって唯腕村に住むことになった美貌の少女ribbon。この第2部では高校3年生から、飛んで10年後の彼女が描かれてます。桐野作品でよく出てくる無頼なオンナboutique。だけどその根底には、失踪した母親の行方を知りたいという熱望があり、それが彼女の生きる原動力になっている。


で、このチョー暑苦しい男と常に欠乏感を抱いている女を中心に、過疎と高齢化で内部から崩壊しつつあるコミュニティ、外国人の不法滞在と労働、農村の嫁不足、食品ブランド偽装、食の安全性、脱北ビジネス、などなど今のアジアと日本を巡る多くの問題を編み込んだ物語が展開されてくわけですon


なんだけど、残念なことにこれらの問題に対する何らかのアイディアflairがあるわけじゃなく(ま、小説だから別になくてもいいんだけど)、俗悪な独裁者として村から放り出された東一が北海道の地で新たな理想的共同体建設を目指す、と言って真矢を誘う、ってラストは、なんだかかなり安易なカンジがしちゃったのよねーdown。「男と女の間には何でも起こる」って言っちゃえばそれまでなんだけどgawk


一部ご都合主義的なエピソードもあったりなんかして、桐野さんの初期の頃の作品に漂う特徴だった、ヒリヒリするような孤独感や虚無感がかなり削がれて、なんだか丸くなったように感じるのはわたくしだけかしらthink

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