「ルポ 下北核半島」
ルポライター鎌田慧氏と東奥日報記者、斉藤光政氏の共著。前半は鎌田氏による原発立地エリアとしての下北、後半は斉藤氏による米軍基地エリアとしての下北、それぞれについて書かれたもの。いや~かなりショックでした…
。
函館から20~30kmの距離にある下北半島。ここに世界史上最悪の原発(大間)が建設されようとしていること、高レベル核廃棄物を保管する場所(六ヶ所)があるということ、世界最高レベルの戦闘能力を持つ米軍基地(三沢)があるということ。世の中の見たくない部分がこの下北に押し付けられているという事実。
大間原発も六ヶ所村も三沢基地も名前はよく聞いていたけれど、初めてその実態を知りました。六ヶ所も東通も三沢も、地図上のどこにあるかも知らなかった。いかに関心がなかったかの証左。ほんとうにダメなわたくし
。
大間で、たったひとり反対運動をされていた熊谷あさ子さんのことは聞いたことがありました。どんだけ“えらい人”が来ても決して首を縦に振らなかった意思の人。具体的なエピソードを読むと本当にスカッ
とします。でも狭い社会でどれほどイヤな思いをされたことでしょう…
。今は娘さんとお孫さんが意志を継いで頑張っています
。わたくし、むちゃ応援します
。3.11の青森も停電で真っ暗な中、自然エネルギーで維持している「あさこはうす」(娘さんとお孫さんが暮らしているログハウス)だけは光が灯り
、「母が貫いた意思は決して間違いではなかったと知った」と娘さんが話していたといいます
。
そして、わたくしほとんどっていうか、沖縄以外全然関心がなかった米軍基地については、もーほんとーにビックリしましたよ。三沢って、スゴイことになってたんだ…。ほとんど直接的に日本がイラク戦争に加担してたんじゃん…
。
斉藤さんの取材と執筆により、日本が米軍基地敷設地として置かれている立場が非常によく理解できました。確かに「何か」あってもアメリカは日本を助ける気なんかない、とはよく言われているけれども、だから「出てけ!」とも、そう簡単には言えないのだ、ということがわかってしまひました。冷戦時代とは違い、複雑な世界情勢が簡単な解釈を許さなくなってきているというのが現状で。
だけど、原発にしろ基地にしろ、アメリカとの関係でこんなことになってるのが本質で、でもせめて原発問題だけは、日本政府よ、も少し賢く対処していただきたい、と思うわけです。日本にとって、本当に大切なことは何なのか、と
。
再び、鎌田氏の『無関心は加担であり、共謀である。』という言葉は、ぐっさり胸に突き刺さるものです。ほんとにその通りダ…
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