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2012/01/26

「「少年A」14歳の肖像」

前回読んだ本を受けて、これ、です。高山文彦氏著book。では加害者はどうなのか。「酒鬼薔薇聖斗」事件の犯人少年Aについて書かれたもの。


はっきり言って、一読、不愉快な気持ちになった。少年Aに、ではない。著者が少年Aを詩的に幻想的に作り上げている、その描き方に、だ。「美化」しているとまでは言わないが、ここに表されている少年Aは、あくまでも著者の想像力が作り出したものだ。少年Aの「真の姿」を描いているわけではない。なぜこんなものを読まされなければならないのか、わたくしにはさっぱりわからない。ま、買っちゃったのは自分のせいだけど。ていうか、買ったことすら忘れてて、奥野さんの著作を読んだあと、本棚を漁っていたら出てきたので、お、こんなの買ってたんだ、だったんだけど。


確かに少年A自身には一元的には責任はないのかも知れない。しかし、これほどまでAに寄り添い立つ必要があるのか、はなはだ疑問だ。この本を読んで、少年Aに恋をしたと筆者に手紙を寄越した少女がいたようだが、そりゃそうだろう、こんなに少女趣味的にA像を作り上げりゃ。「こんな事件を起こしても仕方ないよね、わたしたちこそ被害者なんだから」ってそんな考えを合理化させそうなA像。


著者は序章でこの本が、なぜAが犯罪を犯したのか、被害者家族が理解する助けになるのではないか、というようなことを書いている。わたくしは、被害者遺族がこれを読んで納得したとは到底思えないけど、どうなんでしょうね?単行本は平成10年となっているので今から13年前に刊行されたものですが。こんな、したり顔で書かれたものには、わたくしは吐き気すら感じますけど。


ちなみに解説は宮部みゆきさん。宮部さんは、なぜこんな犯罪が起きたのか全く解らないという。しかし、直接の当事者でなければ何の責任も担っていない私たちが事件について簡単な結論に達してはいけないという。しかし、続けて『ジャーナリストとして、逃げることなく「少年A」の実像と対決し、その結果本書が生まれたのです。』と書いている。けれど「少年Aの実像」とは何なのか?本人にだってわからないかも知れない。まして誠意あるジャーナリストならなおさら、わかったように書いてはいけないのではないか、と思うんですけど。


まったくほんとうに久々、不快な気持ちになる本でした。

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