« 「まるまるパンダ リーリー&シンシン」 | トップページ | 「竹下佳江 短所を武器とせよ」 »

2012/05/17

「メディアは大震災・原発事故をどう語ったか」

学習院大学法学部教授・遠藤薫氏著book。いまだ終わっていない「3.11」についてメディアがどう振る舞ったかを途中経過として検証した一冊。視野を広げてくれる非常に示唆に富むものであると同時に、人間としてのあり方までも考えさせられるものでしたdiamond。サブタイトル「報道・ネット・ドキュメンタリーを検証する」。


この災害にあってそれこそ膨大な情報が飛び交った中、出来うる限りのチェックを行った著者には本当に頭が下がりますcoldsweats02。その積み重ねから現れてくるのは、やはりマスメディアとネットメディアにはそれぞれ一長一短があり、それを組み合わせる、補完させながら利用するということが、より良い判断へ我々を向かわせる、ということがこの非常時に図らずも露わになった、ということのようですthink


テレビ・新聞などのマスメディアは、首都圏が被災した側面もあったための混乱があり、当初充分に機能しなかった。原発報道についても保身(最初の水素爆発の映像をすぐに放映したのは地元福島中央テレビだけだった)、科学専門ジャーナリズムの欠如など、厳しい指摘もされていますthunder


しかし、特にネットメディアでは「マスゴミ」と呼ばれるマスメディアでも、「津波災害」においては、ネットに流れる情報の一次ネタの多くは新聞のものであったことや、海外メディアからの逆輸入ネタが日本で一度放送されたものが多かったということ、あるいは、被災地での情報収集には地元新聞やラジオしかなかったことなど、「取材力」「編集力」などの点でもやはり不可欠なものであったと。そして、それらのメディアの間をつないだのがネットメディア、ソーシャルメディアであり、もはやこの2者は対立するものではないということです。


そして、日本がいかに「内向き意識」の国であるかという指摘もデータからはっきりしていて非常に考えさせられます。日本で起こることはもはや日本一国内だけの話ではない、ということは、現在経済破綻を起こしつつあり、世界経済に大きな悪影響を与える可能性があるギリシアの選挙結果なんかと考えあわせる時、アホだなぁ~なんて笑っていられないわけです。全世界が注目している原発事故について日本はいまだ説明責任なるものを果たしていない、と著者は指摘しています。まして、IAEA(国際原子力機関)の現在の事務局長は日本人。大きなチャンスを与えられているのに、と。う~むtyphoon


この本ではさらに、この原発事故で日本社会は変わるのか、ということにも言及されています。ここでとっても不思議な現象が起こっている。朝日新聞の世論調査によれば、昨年7月には「原発賛成」は34%、福島では19%。しかし2011年の統一地方選では、原発は大きな争点にならず、原発立地自治体では反対派が中枢を握るというところまで行っていないという事実がある。これは、いったいどういうことなんでしょうねthink


日本人はバカではないと思いたいけれど、このまま何も社会が変わらなければきっと後世の人たちからは「あの時の日本人は愚かだった」と嗤われるんじゃないでしょうか。

|

« 「まるまるパンダ リーリー&シンシン」 | トップページ | 「竹下佳江 短所を武器とせよ」 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/213530/54733707

この記事へのトラックバック一覧です: 「メディアは大震災・原発事故をどう語ったか」:

« 「まるまるパンダ リーリー&シンシン」 | トップページ | 「竹下佳江 短所を武器とせよ」 »