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2012/07/30

「野いばら」

梶村啓二氏著book。第3回日経小説大賞受賞作。


馥郁たるロマンの薫りcuteが濃厚に香る作品で、一昔前の少女マンガの原作になりそうな感じcatface。わたくし的にはキライじゃない、というか結構好きな感じなんだけど、これが「日経小説大賞」っていうのはどーなのか、と。ニッケイオジサンってやっぱりロマンティストheart01なのかしらね~smile


醸造メーカーのバイオ事業部でフラワービジネスに携わる縣(あがた)がひょんなことから読むことになった、100年前に生きた英国人の手記が物語のメインストーリー。マトリョーシカ形式ですな。舞台は幕末の横浜ship。生麦事件の後、日本の情報収集をミッションとしてやってきた英国軍人・ウィリアム・エヴァンズとその日本語教師・成瀬由紀との悲恋heart03。よくあるハナシではあるんだけど、その描写がとっても繊細で静謐な叙情性を帯びていて、胸にシットリと染み込みますconfident


小学館の「園芸植物大事典」などによると、野いばらは東アジアや日本が原産で、2万7千種とも言われるバラの元となった8種の原種のうちのひとつだそうです。この野いばらは1860年頃にアジアや日本からヨーロッパに伝播したようで、おそらくこの事実を下敷きにこんなロマンティックなお話を編み出したのでしょうclover


植物budを、遺伝子情報を持つビジネスのネタyenとして扱うことにいくらかの後ろめたさ、というか恥ずかしさのようなものを覚えている縣は、人生なんてものはタンポポの綿毛みたいなもんだと諦念めいた思いを持っていたのね。でもこの手記を読みウィリアムが死ぬまで抱き続けた想いを実際に目の当たりした後、彼は、大地にしっかりと根を張り互いに絡み合う野いばらのように新しい人間関係を自らの意志で作りだそうとする。大震災を経験している日本人の内なる決意のようなものが投影されているんじゃないかしらdiamond


それにしても、このウィリアムさん、ちょーぉっとおマヌケすぎな気がするんですけど、これも「恋は盲目lovely」のなせるワザなのかしら。「優秀な小佐」で情報収集能力も分析能力も秀でたものがあり任務には忠実なのに、ユキちゃんに誘われるとホイホイついてっちゃうchick。おかしいだろー、英国と日本は一触即発の政情のまっただ中にいるっちゅーのにwobbly。それとも、植物budと音楽noteを愛する軍人は、元々そのニンじゃなかったってことなのかしら~coldsweats01


そんなわけで冷静に考えてみると、ユキちゃんはおそらく自分の命と引き替えにウィリアムを救ったweepにもかかわらず、そのビル君はその後薩英戦争bombで鹿児島を焼き払い、大けがを負うも退役して商人となり資産dollarを作って英国に戻るship。そんでもって野いばらの濃厚な香りcuteに酔いつつ若き日の悲恋を書き綴るpen…っつーミもフタもないハナシになっちゃって、その手記を発見したパトリシアに「男って勝手ね。」と一刀両断thunder、袈裟掛けにばっさりimpact、ってなことになっちゃうのよね~。あらら~bleah


まー、でも、わたくしは好きよgood。こーゆー雰囲気happy01

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