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2012/08/29

「毒婦」

コラムニスト、女性のアダルトグッズショップ代表である北原みのり氏著book。「婚活サギ女」木嶋香苗被告の裁判を傍聴した記録memoを連載した「週刊朝日」の記事などを加筆修正したもの。サブタイトル「木嶋佳苗100日裁判傍聴記」。


いや~、4人もの人が亡くなっている事件なので全くもって不謹慎なのは重々承知なんだけど、木嶋佳苗被告ってものすごくオモシロい。ある意味“女性の専門家”である著者も、今のところその実像を掴むまでには至っていないようだけれど、独特の柔軟性のある視点で描写された佳苗被告は、もーなんともシュールtyphoon。男性にはとても優しく思いやりがある反面、金をもらえないとわかると異常なまでに攻撃的になるbomb。でもこういう得体の知れない“毒婦”が生み出された理由を真摯に考え、多くの問題を提起する著者の、ニュートラルな姿勢は非常に好感が持てるものでしたgood。『佳苗のことを分かりたい、出会いたい、と思いながら100日間、佳苗に振り回されるように過ごした。分かるのは、佳苗こそが、徹底的に女目線、ナチュラルに、もうどうしようもなく、女目線の女である、ということだった。


佳苗被告が北海道の別海町から上京したのは、バブル崩壊の直後、「援助交際」が台頭して来た時期だったらしい。それまでの「一般的な」男女関係の価値観が変化した時期だ。『しかし、結局、あの世代の女の子たちがした援交は、この世界の何を変えたというのだろう。』鋭い指摘ですthunder。フェミニズムの権威・上野千鶴子氏曰く『援交世代から思想が生まれると思っていた。生んだのは木嶋佳苗だったのね。』「一般的な」男女間の価値観を決定的にぶっ壊したimpactという意味で彼女はひとつの到達点に達したんだろうと思う。『佳苗がこれまでにいなかった“毒婦”なのだとしたら、それは佳苗が、毒婦という言葉から、男性たちが多少なりとも感じていただろう甘美さのようなものを、嘲笑うようにそぎ落とした点だろう。男たちが女に求めた幻想そのものを、佳苗は殺したのだから。』これまでの女性たちの苦悩を思えば、これってかなり画期的なことだとは思う。でも、(もし佳苗被告が殺人を犯していたのだとしたら)ここまで残酷に「男というもの」に報復しても許されるものなんだろうか…?


それにしてもこの記録を読んでいると、木嶋佳苗という女は生まれながらの女優なんじゃないかと思えてくるのよね。全部お芝居。実体がない。ひょっとするとレプリカント。筆者は書く。『(男たちに語った自分自身のことについて)もちろん、全て、嘘ではある。が、「もしかしたら、そうであったかもしれないもうひとつの私の人生」は、佳苗にとって、諦められないものだったのかもしれない。佳苗はずーっと、ずーっと、現実の自分と、もしかしたらあったかもしれない別の人生の間で、引き裂かれていたのかもしれない。』わたくしには、こんなセンチメンタルな説明なんかで分かられたくなんかないって、ハナで笑う佳苗の姿が目に浮かぶ。


わたくし的には、佳苗被告って精神鑑定になってもおかくしくないくらいの異常性があると思うんだけど、これは「女の性にまつわる犯罪」は必ず、なんとしても罰しなければならないっていう、男チームの「懲罰意識」があるような気がするんだけど、どうでしょうthink

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