「子供の名前が危ない」
命名研究家、牧野恭仁雄氏著。いや~、こんなタイトルの本で(シツレイ
)ちょっと感動させられるなんて思いもよらなかったワ~
。
以前仕事で、4000人からの子供の名簿を作るハメに陥った時、読み合わせで困ったのが、この「危ない名前」がぜんぜん読めなかったってこと。いわゆるキラキラ
ネームってヤツですな。幼稚園児から中学生くらいまではほとんどこれ。たまに「なになに子」ちゃんとか「なになに男」くんとか出てくると心底ホッ
としたもんです。
んで、なんでこんな全ッ然読めないような名前を子供につけるのか、その親の深層心理に迫ったのがこの本。ところどころヒジョーにビミョーな表現があったりして、ちょっとどうかと思うような部分もなきにしもあらずだったけど、著者の長年の研究に裏打ちされた説得力と誠実なお人柄がにじむ本でした
。
子供の名前が、その時代に生きる人々の欠乏感を顕著に表すものである、というところは統計なども使っていて、なるほど~、と納得。そして社会迷惑な“珍奇ネーム”は、親個人の欠乏感や無力感の代償行為としてのものである、と結論づけてます。10万人以上の名付け相談を受けてきた著者ならではの説得力です。『珍奇ネームにこだわる人の心の中には、「自分はこうありたかった」「自分にはこれがない」という無力感が働いています。その結果「世の中の常識なんかに左右されない」「自分の個性を発揮して名づけをしている」という逸脱した形をとることになるのです。』他人が読めないような名前をつけて悦に入ってる、なんて十分カッコ悪いと思うけどね。
で、わたくしがちょっぴりカンドーしたのは、親の代償行為による名付けでヘンな名前をつけられ悩んでいる人だけでなく、将来自分の子供にヘンな名前をつけてしまいそうなくらい現在無力感を抱えている人に向かって書かれた言葉。『(なんでこんな親のもとに生まれてしまったのかという思いに)それは正しい考えかもしれません。しかし、どんな社会的なハンディがあろうとも、心にどんな痛みをかかえていようとも、親、またその親たちが必死で生きてきた事実、くじけないで最後まで生きぬいた事実が、まちがいなく今の自分という存在の一部なのです。』『自分と同じ痛みをかかえていた彼らを、何の理由もなく、無条件に肯定できるかどうかが肝要なのです。』なんか、ヘタなセラピストよりよっぽど効果ありそうだわよね
。
“珍奇ネーム”があふれる今の日本は、「真の個性」というものをはき違えた欲求不満バクハツの社会ってことなのね。あー、なんだかコワいワ~~
。
ってなわけで、今後、人の名前からその親御さんの欠乏感の中身がわかっちゃうかと思うとちょっとオモシロいかも~。なんて言うと牧野さんに「そういうコトに利用すんじゃないッ
」って怒られちゃいソー
。
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コメント
DQNネーム、珍奇ネーム。恥ずかしくてこちらが呼べません!
投稿: ナーグスク | 2012/11/07 11時43分
ナーグスクさん、ど~も
。
確かに
。
。
呼ばれる方も恥ずかしい思いをしてるとしたらかなりカワイソーですけどね…
投稿: かまど姫 | 2012/11/07 22時26分