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2012/10/27

「大道具で楽しむ日本舞踊」

舞台美術を扱う会社の代表取締役にして、日本舞踊・邦楽の舞台装置、舞台監督を専門とする中田節氏の著作book。タイトル通り大道具そのものと大道具さんのお仕事に関する解説書で、ヒジョーにわかりやすくて興味深い入門書でしたgood


わたくし、最近はすっかり縁遠くなってしまいましたが、趣味で三弦(地唄)なんぞもやりますし(実際には舞の地方はやったことないけど)、大阪・東京在住時にはそれこそ公演毎に歌舞伎なんぞも観に行ってましたので、めちゃくちゃなるほどーconfident、な内容でした。コレ、当時読んでたらもっと舞台が楽しめたなぁ~flair


中田さんは、日本モノの舞台のイロハを師匠から徹底的に教わった世代なので、「定式」の大切さを何度も説いています。その「定式」をベースに、舞台を最大限効果的に表現するために自らの知見を惜しむことなくそそぎ込む、そのプロフェッショナルな姿勢がビシビシimpactと伝わってくる書きっぷりですfuji。和モノにあっては、オリジナリティの発露も「定式」を知っている、いないでは大きな違いがあると。それ、すっごくわかります~confident。たぶん、どこの世界でも共通する認識ではないでしょうか。なんでも奇抜でありゃイイってもんではないですsmile


中田さんの、箱モノ的「無目的ホール」を設計した劇場建築家への怒りannoyは、全体的に優しいトーンの語り口の中では、ものすごく激しくてthunderびっくりするけど、ほんとに怒ってんだな~ってのがわかって微笑ましいhappy01。ってか、微笑んでるバアイぢゃないのよね、日本の伝統芸能を真に守っていくにはangry。いやしくもその世界でメシを食ってる人間はもっと勉強せいッsign01ってことですね。


しかしながらそんなキビシい中田さんがもっとステキに思えるのは、日本独自の「お稽古事→発表会」というサブカルチャーもきちんと評価して愛でてくれてるってことなのねshine。それは、そういうシロートさんの発表会がなくなったら、メシのタネが減るってことじゃなく(ってこともあるかも知れないケドsmile)、日本の「芸能」というものが持つ懐の深さwaveを深く理解しているからなんだと思いますdiamond。『(古来の劇場では花道の向こうにお弁当を食べたりお茶を飲んだりする客がモロ見えだったりするような作りになっていることを述べた後)どうもこのような《前近代的》とも言える形式は、日本古来の演劇における仮面劇的な特質や人形劇の特質を底流に伝えているのかなという思いもしますが、どちらにせよ、日本の「芸能」の本来的な特色かも知れません。決して日本舞踊の芸術的価値を疑うものではありませんが、根本のところで《きれい》《楽しむ》ということを第一義にしているジャンルの図太さを感じて、私はこのことを愛しています。』むー、シビレる~lovely


プロの舞台では、演者との話し合いで「定式」を弁えた上での革新性を含む高度な舞台装置を考え、素人さんの発表会では、演者を引き立て支えるための「定式」をプロとしてきちんと提供すること。中田さんの仕事のステキさを、長年、その世界に携わってきた人だけが持つ本物の力diamondshineで教えてくれるものでしたhappy01


わたくしの雑多な蔵書の中に、宝物ringとして加えたい特別な1冊ですnote

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