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2012/10/18

「ファイナル・オペラ」

山田正紀氏著book。伝奇ミステリーということだけど、ミステリー色よりも、SF作家だけあって本格ものというより幻惑的ファンタジー色が濃厚な作品だったかな~。能つながりsmile


昭和20年東京。八王子の神社の神主を努める明比家に伝わる秘能。それは、衆人環視の状況下で如何にして母親が子殺しの人買いに復讐したかを観客が推理する、世界最古の探偵小説というべきものだった。内容に呼応するように、上演中、演者が何者かに殺される。身近な悲劇と終戦目前の歴史的悲劇に人はどう立ち向かうのか。』というのが裏表紙に書かれたもの。でも、実際の印象は全然違うのよね~down。「秘能」の全容は最後までわからないし(まぁそれがテーマでもあるので、それは読者が考えろ、ってことなんだろうけど)、上演中の惨劇も14年前の事件を語り手が伝え聞くものだし、全体的に薄い紗幕がかかったような世界mist


語り手の「世界を創造する力」がテーマと関わって非常に重要な要素なので、彼が書いた創作手記のようなものが全体のトーンを決定づけていて、素材である「能」と絡まってそれがこの作品を「本格」とは言い難い雰囲気を醸す原因となっているわけです。別にそれが悪いわけでは全然ないけど、読了してもなんとなくスッキリしないものが残っちゃうのが、「本格」と謳っているだけにナットクできないっていうか…despair。読んでいるうちにミステリー的要素はどうでもよくなっちゃうのよね~think


今も地球上のどこかで悲惨な死を迎えているたくさんのこどもたち。その死をあがなうにはどうすればいいのか。小説の舞台は終戦直前の日本だけれども、この作品のテーマは過去現在未来を貫く、おそらく永遠に続いてしまうものなんだろうと思うweep。小説の中でも、ひとつの可能性が示されていたにもかかわらず、結局それは叶うことがないというラストになってしまっている。やっぱりそうなのかcrying


仏教の教えが興隆していた室町時代に盛んになった能。しかしその中でも八王子の神社の神主である明比家だけに伝わる「秘能」に込められたもの。終戦前夜という舞台設定。ペダンティックなカンジがちょっとハナにつくけれど、非常に巧みな構成だと思いましたgood


んが、わたくしにとっては、山田正紀氏の作品として最初に読むにはちょっとレベルが高すぎたのかも…bleah

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