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2012/12/13

「暴行」

ライアン・デイヴィッド・ヤーン著book。田口俊樹訳。CWA賞最優秀新人賞受賞作crown。1960年代にニューヨークで実際に起こった事件(「傍観者効果」なる社会学用語を生んだ事件だそう)を下敷きにしたもので、実にアメリカンテイストな作品think


夜勤から戻ったキャット(カトリーナ)は、自宅のあるアパートメントの中庭で暴漢に襲われる。幾多の住人が犯行の模様を目撃しながら、誰も通報しない。彼らもそれぞれ、己の人生の岐路に立たされていたのだ-。』という筋書き。いや~、結構文字ものではいろんなシーンへの耐性はあるつもりだったけど、これはかなりヴァイオレンス度が高くて、読んでてちょっとうげーってなっちゃったshock。特にキャットが1度目に襲われてから(2回同じ犯人に襲撃されるsign01)、やっと救急車に乗せられるまでの描写は凄惨すぎるdown。彼女の、「こんなところで死んでたまるかーsign01」っていう懸命さが痛いほど伝わってくるだけに余計にweep


アパートの中庭で、薄暗いとは言え悲鳴まで聞いてear、襲われている彼女の影も見ているeyeにもかかわらず、目撃者たちは「こんなにみんな見てるんだから誰かが通報しているだろう」(傍観者効果)と関わり合いになるのを避け、自分たちの一大事にかまける。そんな中唯一、意識朦朧となっている彼女を発見し通報したのが、フランクさん。彼は彼で一大事が起きていたし、黒人であるが故の激しい差別を受けている人物ながら、一番マトモで人間的なものを感じさせるsun。そのほかの目撃者たちは、まぁ、それぞれイロイロあるんだけども(このあたり淡々と心理と出来事が描かれていく)、キャットがひとり、目と鼻の先でめっちゃくちゃヒドい目に合ってることを思えば、それがどーしたッannoysign01ってカンジなんだけども。アンタらこの先、ゼッタイ、ロクなことねーよ、ってimpactpunch


っていうのが一読後のフツーの感想。だけど、この目撃者たちのそれぞれのエピソードを取り上げてみるとそれだけでひとつの小説が書けるほどのもので、それを手際よく同時進行的に並べていく技はナカナカなもんですgood。著者はテレビおよび映画業界にいる人らしく、どーりでウマいわけだ。時制はすべて現在進行形で脚本のようなのよ。ガサガサした手触りのモノクロームに近いオムニバス・フィルムmovieを観てるよう。これ、ゼッタイ映画になるワ。


確かに暴行殺人事件に取材はしているけどそれがガッツリメインなのではなく、ピースのひとつだったのね。都会に住むちっぽけな人間たちのこれまたちっぽけな世界のつながりを描いた、エラい虚無的な作品だったなぁ~と思うわけです。ただ一筋の信じるに足る光shineは、キャットの生への執念と、フランクの妻との暖かい信頼感のみ…。それでもやっぱりヘコむワーbearing

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