「ユリゴコロ」
沼田まほかる氏の書き下ろし長編。独特のテイストだけど面白かった
。Tちゃんが貸してくれたもの。
前に読んだ「九月が永遠に続けば」は、インモラルの中身がわたくしの好みじゃなかったので(別にインモラルな内容がダメだっつーわけではないわよ)、冒頭から出てくる「手記」の内容に、何とも言えないいや~なカンジ
がしたんだけど、意外や意外、ラストはちょっとナミダしてしまいました
。
一読、「こんなの、ありえない」なんだけど、その中に普遍的なものが潜んでいる。知っているような気になってるけど実は何もわかってなかった家族の姿。自分の出生や親の真実、ふと我が身を振り返ってみるとちょっとコワくなったりして。過去に感じたちょっとした違和感
が実は巨大な暗闇
に繋がって…、なんて
。ま、わたくしなんかは「ちょっとした違和感」を感じるほど繊細でもないし、仮にあったとしても覚えてないし
。
「手記」は連続殺人を犯す人間の心理について書き連ねられたものなんだけど、「ユリゴコロ」の扱い、沼田さん、ウマいな~
。殺人に対するちょっとした考察なんかも埋め込まれてて。そんな「ユリゴコロ」というものを抱えた人間が、「アナタ」という存在によって哀しくも癒されていく過程が描かれ、小説世界の中であり得べき頂点へ到達する
、というか開放されるっていうか、いったいこのとてつもなく虚無的でありながら満たされるカンジって何なんだろう
?
なんかこの感覚って、日本の昔話とか民間伝承あたりに源流がありそうなカンジがするんだけど…、それが何なのか思いつかないーッ
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