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2013年2月

2013/02/26

「リカ」

五十嵐貴久氏著book。第2回ホラーサスペンス大賞受賞作crown。いや~、久々に「読んでものすげーコワかった…。」と思った作品shock


これ、コワさの種類が2つscissorsあって、ひとつは「得体の知れない生理的コワさ」ってやつで、もうひとつは「生物学における理性的コワさ」ってやつなのよ。後者は単行本の時には掲載されていなかった「衝撃の」エピソードによって「完全版」になったという、そこんところッsign01マジッsign01コワすぎるーッimpactsign03


簡単に言ってしまえば、出会い系サイトmobilephoneで知り合った「リカ」と名乗る女に恐ろしい目typhoonに会わされるってハナシ。10年前に書かれた作品なので、ネット社会についてあまり知られていなかったっていう背景を盛り込んでいるとしても、主人公・本間のあまりのアホさ&軽率さにはチトあきれてしまうわねgawk。まぁしかしその代償としてはあまりに大きすぎるものを払わされちゃってカワイソーなんだけどもsweat02


で、前者の「生理的なコワさ」は、「リカ」ちゃんの存在そのもの。人格が破綻してるのは「まぁ、そういうこともあるカモ」と納得するものの、なんつっても最大の得体の知れなさはその容姿。どうしたらそういうことになるのか、説明が一切ないので生理的に心底コワいbearing。この説明ナシってのが効果的なのよねgood


ほんと、夜寝る時に明かりを消すのヤダと思うくらいなので、就寝前の読破をお勧めしますsmile

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2013/02/23

「夜明けの雷鳴 医師 高松凌雲」

吉村昭氏著book。おととし函館野外劇を観たとき、とても印象に残ったのが高松凌雲さんのシーンflair。函館戦争の際、病院を襲おうとする官軍の兵士に対して両手を広げて進入を阻止し患者を守ろうとしてました。なんかすっごいカッコイイじゃんlovely?で、いったいどんなおヒトなのかと思って。


吉村氏の小説は初めて読んだんだけど、はじめのうちはなんだか事実の羅列ばっかで面白くなくて、やめようかと思ったくらいdown。佐藤賢一さんのを読んだ直後だったから余計にそう思ったのよねーsmile。だけど、函館戦争が進んでいって、旧幕府軍がヤラレていくあたりweepは、どうしても高松さん側に思い入れちゃうわたくしにとっては、サラッと行き過ぎてくれて逆に助かったdash。あんまり感情過多に描写されたら、浅田次郎さんの「壬生義士伝」の時みたいに、バスタオルで顔面ぐるぐる巻きにしないと読み終われなかったカモcoldsweats01


さて、モンダイの高松さんは、子供の頃から苦労してタイヘンなメに合いながらも、自分が進みたい道を求めてドンドン突き進んでいくバイタリティーにあふれまくったおヒトだったんですねdiamond。だもんで、人脈もドンドン増えて行き、優秀でもあったので(ここが大事なわけだけどsmile)、水戸の一橋家の専属医になったのが彼の人生を大きく決定付けることになったのでしたbell。将軍となった慶喜の弟が、将軍の名代としてパリ万博に招待されたときの随行員の一員としてパリに渡りship、一橋家の厚意により西洋医学を修得するに至って、その後の函館戦争での「あのシーン」に繋がっていくんですねーspade


戦後は、優秀な西洋医として引く手数多だったにも関わらず新政府から俸禄yenをいただくことをよしとせず、貧富の差なく町医者として患者を診ながら、パリで見た「貧民病院」を日本で実践すべく力を尽くした、と。一橋家(幕府)への生涯変わらぬ忠誠心を持ち続け、それを己の生き方の指針とした「義の人」で、土方歳三の医者版、みたいなカンジがするけど、かと言って榎本武揚のような人を否定することもない。かえって優秀な人材が活かされることを素直に喜んでいたりするのよね。でもこの小説の中では、病人やケガ人に対して鬼畜の所業を行ったり、ただ官軍だというだけで倣岸不遜な態度をとる官軍兵士に対してめちゃくちゃ怒ってangryちょっとした復讐をして溜飲を下げたりするところが人間くさくて、ちょっとカワイかったりもしてchick


それにしても、現在わたくしが住む函館でのほんの150年くらい前の話なわけで、地名なんかもほぼそのまま出て来て、「おおーッsign01あそこでそんなことがーッsign01」「ここでこんなことがーッsign01」って、ヒジョーに感慨深いわけです。しかし、やっぱり旧幕府軍の兵士たちの遺骸が街中に放置されていたっていうのは事実のようで…sweat02。新政府、ヒドイ…crying


函館図書館のウェブサイトで高松さんの晩年の写真が見られるんだけど、ホント、イイカンジで頑固ジジイってカンジsmile。ここにも幕末から明治にかけて、「夜明けの雷鳴」thunderのような生涯を送ったひとりの人間がいたということを知ったのでしたconfident


ちなみに、わたくしをこの本に導いてくれた函館野外劇の発案者、フィリッポ・グロード神父さんが昨年12月25日に天に召されました。ご冥福をお祈りいたします…weep

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2013/02/20

「スピンク日記」

町田康氏著book。「スピンク合財帳」の前に書かれたもので、続編よりちょっと批評性が高いのと、主人・ポチの情けなさがよりクローズアップされてますcoldsweats01


ほんとに、ポチを語るスピンクの口調には大爆笑ッimpacthappy02sign01どうしても町田さんを脳裏に浮かべながら読んじゃうんだけど、その己を自虐的に客観視する目は大阪人らしくて、もー可笑しくてたまらんわけですfuji


こちらでは、町田さんとスピンクdog&キューティーdog(あとからもらわれてきたスピンクの兄弟)との写真cameraがたくさんあってほほえましかったり、プッdashってなったり、サービス満点の1冊sun


「我輩は猫であるcat」の犬版dog。ほっこりしますspa

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2013/02/17

洋琴庭ライヴ!第26回

Img142Img141ひゃ~、一気に18世紀のヨーロッパに連れてかれちゃいました~~notes


昨日お昼に行われた、函館ご在住のチェンバロ奏者、森洋子さんの演奏会event。札幌時代のわたくしの笛の師匠・H先生からお勧めを頂き、早速ウェブpc検索してみたところ、ちょうどバシッimpactとスケジュールが合う演奏会を発見eyesign01早速拝聴しに参りましたcar


今回は、「震災復興支援バッハシリーズ」の第6回目だそうで、ご自身へのチャレンジの意味も込めてバッハ作品のプログラムシリーズを、震災後から続けていらっしゃるそうです。もちろん、収益の一部は復興のために寄付をされているとのこと。スバラシいですshine


で、バッハは「平均律クラヴィーア曲集第1巻」第17番から20番までの4曲。…チェンバロで聴くバッハサイコーッhappy02impactsign03チェンバロの生音は初めてではありませんが、なんせ3~4メートルの距離で聴く音は、ほんとに弦を弾いてるんだな~と実感できるシズル感がありましたhappy01。わたくしは単なる音楽好きなので、技術や学術的なことはわかりませんが、ほんと、バッハの音楽の美しさはヒトが“美しい”と感じる根底に横たわるもののように思いますshinediamondshine。特に昨日の中では第20番が圧巻でしたthunder。もー、宇宙。コスモnight


「リサイタル」とはよく言ったもので、当時と全く同じというわけではない楽器とはいえ、こうして18世紀のバッハの音楽を「リサイト」して今まさに眼前で再構築してもらえるって、しかも、この函館でッsign01めちゃシアワセなことでございますheart02。ありがとうございますぅconfident


そしてこの日のゲストは、函館でご活躍のフルート奏者・池田桂子さん。わたくしが今まで教えをいただいてきているのは(偶然ですが)フランスで学んで来られた先生方ですし、自然とフレンチスクール系フルーティストの演奏を聴くことが多かったので、今回は新鮮な感じがしましたnew。プロフィールを拝見すると、池田さんがドイツで学ばれた方だからなのかも知れません。最初は少し硬かったように思いましたがだんだんと本来の音になられたようで、なんだかもー、ほんとにほっこりする暖かい音色でしたsun。フルートって木管だったのよね~bud、って改めて思い出させられる素朴な味わいspa。よかったです~~bell。アンコールの「G線上のアリア」もしっとりした深みがあって、最近チャラチャラ装飾してばっかりのわたくし、反省いたしましたweep


さて、「洋琴庭」というのは、演奏会場として使われている森さんのご自宅の一部。観葉植物cloverと床の木目に癒されるステキな空間でしたhappy01。いや~、アコガレますねぇ~shine。森さんは元々は九州のご出身のようですが、縁あって函館に本拠地を移されたそうです。音楽大学schoolでバリバリ教鞭を執られていらっしゃったようですので、バッハのスバラシさの秘密secretをアカデミックに解説karaokeしてくれるような機会があったらいいなぁ~なんて思いました。ただしッsign01わたくしのサル並みの理解力でも大丈夫なレベルでッsign01…って、やっぱムリですか…weep


正味1時間弱の音楽会でしたが、お天気のいい昼下がりsun、なんだかこれくらいが今のわたくしにはちょうどいいかもwink。手作りのお茶菓子cakecafeもおいしかったですしcatface、サポーターの方々にも感謝heart01、です。ごちそうさまでした&ありがとうございました~note

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2013/02/13

「鍵のない夢を見る」

辻村深月さんの直木賞受賞作book。最近特によく聞く自意識過剰なカンチガイ人間dangerを描いて実にウマシgood。共通のテーマと共通の構成を用いて、いろんな設定を串刺しにした短編集っていうのも巧みですね~up


「自分はこんなもんじゃない」っていう現実に対するイライラ感annoyを何の思慮もなくストレートに出しては他人を傷つけるthunder。振り回すtyphoon。でも平気っていうか気づかない人種っていますねぇ。そういう人間をビミョーなさじ加減で描く作家は何人もいるけど、これほど僅かな不快感を少しずつ重ねて重ねて、うえぇぇ~downって感じさせる力はかなりなもんじゃないかなー。それと「こんなはずじゃなかった」を、様々に自分に言い訳するオンナのモノローグのたたみ掛けも効果的で、徐々に事態が常軌を逸していく必然性がガッツリある。


それが一番顕著に現れた「芹葉大学の夢と殺人」は推理作家協会賞短編部門の候補作となった作品だけど、「自分はこんなもんじゃない」オトコと「こんなはずじゃなかった」オンナの、ゼッタイに噛み合わない不幸を描いてヒジョーに高密度diamondなドラマになってます。再び、ウマシdelicious


この腹の底にモヤモヤmistするビミョーで独特な不快感despairは、たぶん辻村さんの特徴だと思うのでこのままの勢いで長編を書いてもらったらスゴいことになりソーimpact

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2013/02/10

「共和制の樹立」

ああー、つひにルイ16世、処刑されちゃったーーdanger。佐藤賢一さんの小説フランス革命Ⅷbook。断頭台に寝そべった瞬間、悟りの境地に到達した元フランス王の胸の内、伝えられる歴史の断片から、よくもここまでウマく語らせちゃうなぁ~とものスゴ感心するつくりcoldsweats02。めっさオモシロかった~~happy02


今巻では、1792年の「8月10日事件」から「九月虐殺」そして1793年のルイ16世の処刑までを、主にわれらがデムーランくんdramaとジロンド派の女王・ロラン夫人boutique、ロベスピエールさんchickの目線で語られてます。ヘタレなわたくしに一番感覚が近いcoldsweats01デムーランくんから見たダントンの得体の知れなさmistや、結局何を目指してんだか今だによくわかんないtyphoonロラン夫人らの「政争bomb」は、全くもって政治というものの本質的な不毛さを物語ってますねーdown。200年以上前のフランスから現在に至るまで、何一つ進歩していないっていう…bearing


「政争」が続く限り重要な施策がなにひとつ進められていないということに気づいているロベスピエールさんが、ブチ切れてthunder独裁に突進するdashのもなんかわかるような気がしてきた。まだ相変わらず優柔不断だけどsmile。ルイ16世の死刑を決定付けたといわれるサン・ジュストくんの演説karaokeにも全く違った切り口に目を覚まされる思いで聞き入りつつも、自分ではまだ吹っ切れるところまでは行ってないのよね~despair


そしてこのシリーズではめずらしい色恋シーンkissmarkもございました。ロラン夫人とビュゾさんの不倫現場heart04、夫ロラン氏目撃ッeyeimpactsign01ロラン夫人のコムスメみたいな反応がまたかわいらしくてribbon。しかし、自分にも夫にもいろいろ賢しらな言い訳をこねくり回したりするところは熟女barなのね。


次巻はいよいよジャコバン党の独裁が始まるようです。またまた楽しみ~note

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2013/02/07

「なぜヤギは、車好きなのか?」

動物行動学、人間比較行動学が専門の理学博士・小林朋道氏著book。サブタイトル「鳥取環境大学のヤギの動物行動学」。小林先生のヤギへのあふるる愛が満載の本happy01


もー、小林先生が撮影した数々のヤギちゃんたちの写真cameraがカワイクてカワイクてたまらんッhappy02sign01どーしてヤギって口元がいつも笑ってるんでしょーかcatface?だけど、確かマンガ「動物のお医者さん」では目の中の瞳が「横たわる三日月moon3」でなんだかコワいって描かれてた記憶がsmile。しかし、さすが動物行動学の小林先生の著作、その秘密もバッチシ解説されますgood


といっても、この本、全然難しくない。ってかむしろわたくしにとっては、ちょっとフザけ過ぎなんじゃねーの?ってカンジだったんだけど(小林先生の軽口がざーとらしいdown)、読み進めていくうちに、うーむ、こりゃなかなか、フザけの皮を被って実は深いハナシなのではないか?と思うようになっていったわけです。タイトルの疑問にも、いろんな実験と考察を通して、ヤギの特性についての一端を明らかにすることによって答えられていますpencil


だけど、まぁ期待したほど動物行動学って、動物の行動をキッチリ明確に解き明かしたもんでもないんだなーってことはわかったdespair。あと、小林先生も動物行動学者として『一つだけ心がけたことがある。』として、『ヤギたちを、家畜としてではなく、ペットとしてでもなく、野生の特性を色濃く残した対象として、動物行動学の視点から描くことを忘れない』と誓っているにもかかわらず、やたら擬人化して描いちゃってるのよねーbearing。ま、ヤギちゃんたちがカワイイからわたくしは許すけどchick


やっぱ、白くてもふもふしてるのはカワイイわよね~heart04。でもヤギは意外と剛毛だそうでcoldsweats02

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2013/02/04

「フェルメールの仮面」

小林英樹氏著book。2000年に「ゴッホの遺言」で日本推理作家協会賞を受賞crownした作家さんだそうですが、この作品は、どーなんでしょー??なカンジthink


フェルメールartの贋作疑惑作品と、200年前の無名のフランス人画家のエピソード、現代を生きる日本人画家・折原(主人公)を重ね合わせつつ、絵画界の模写と贋作を扱った小説なんだけど、全体的に登場人物の設定に無理thunderがあるのと、細かいところでなんかすごく気になる部分despairがあって、没入できなかったワーdown


人物設定の謎のひとつは、折原の美術予備校時代のクラスメイト、夏目柚子boutiqueの存在。こいついったいなにもんcoldsweats02?ってのが最後までわからなかった。折原が巻き込まれた贋作事件の中心人物たちのシークレット社会になにゆえ存在できているのか。殺人まで平然と行う集団なのに、単に折原をミッションに誘い込む女として遣わされたのだとしても予備校時代以来の顔あわせの人間に依頼するか、フツーgawk。最初からアヤシイ雰囲気を持っていた柚子なんだから、実は黒幕の隠し子デシタ、くらいの来歴が欲しかったtyphoon


次に折原さん。修復・模写の世界的権威シャセリオ氏の弟子で腕はいいらしいgood。で、その師匠のひきで贋作騒動に巻き込まれるんだけど、あまりにナイーヴ過ぎてchick、いくら芸術家だってこれほどアタマボンヤリmistってことはないんじゃねー?ってカンジなんだけどgawk。まぁ、そもそもこの折原さんがボンヤリじゃなかったらこのハナシは始まんないんだけどねsmile。隆さんみたいに消されちゃってcoldsweats02


そして細かいところで、えーsign02だったのは、北海道の地元新聞社の描写。役職名が「編集部局長」「文化部編集長」「広報部局長」「販売促進部局長」「広告部局長」。どーゆー組織なんだ、ここは。部なのか。局なのか。しかも世界を揺るがすかも知れないスクープを記事化するかどうかの会議に編集以外の人間を入れることはありえんしng、ましてや記事化しない決定を「広告部局長」がしちゃうって…sweat02。こんな新聞社の新聞、読みたくないannoy


なんて、どうにも許しがたい欠点bombがある本作ですが、「模写」というものに対するシャセリオ氏の発言は非常に含蓄のあるものですねdiamond。芸術至上主義の超上から目線downwardlefteyeの発言ですがcoldsweats01。わたくしも「模写」に対する観方を改めた次第デスdiamond

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2013/02/01

「スピンク合財帖」

町田康さん著book。講談社の「本」に連載されたのをまとめたもの。町田さんはチョー久しぶりに読んだけど、相変わらずオモシロ~happy02


山奥で暮らすスタンダードプードル・スピンクdogが語り手で、家族は美徴さん(人間)、キューティー(犬)、シード(犬)、ポチ(主人・人間)とたくさんの猫。例によってこの主人のポチが町田さんの作品によく出てくる、オカシなヘタレ人間(わたくし親近感を覚えマスsmile)で、ポチのなさけなーい動きをスルドく洞察するeyeスピンクの語りがジワジワ可笑しいcatface。美徴さんとポチの会話も可笑しいcatface


落ち込んだdown時に読むと、「ワタシはポチほどヘンではない」と確信して復活できるup1冊として、常に傍らに置いておきたいと思いますsmile

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