「ソロモンの偽証 第1部 事件」
いやー、宮部さん、ついにやっちゃいましたねー。こんなに解決困難な教育にまつわる問題を次々に取り上げちゃってダイジョブなんでしょーかッ
エンタメ界の女王・宮部みゆきさんの長編第1部。
城東第三中学校で次々に起こる事件をめぐって、学校教職員たちの動き、家族の動き、警察の動き、マスコミの動きを丁寧に描き込んでいく第1部。
中学2年生って、こんなに物事をちゃんと見抜いてるもんかなぁ、ってのが正直なところなんだけど(わたくしは完全にアホでした
。)、優等生
の藤野涼子チャンよりも、ちょっとトロい
印象の向坂行夫クンや浅井松子サンの方に作者の愛情
が感じられるのが宮部さんらしい
。特に向坂くんはステキな中坊だなぁ
、なんてわたくし思うものです
。「友達」の野田くんを間一髪救うシーンなんか、もー断然シビレましたよ~
。
この作品でも、まともな価値観と判断力を持つオトナがたくさん存在していて、不穏な世界の中でも、これからそれぞれがコドモたちの拠り所
となっていくんだろうなぁとわたくし、予想しております
。
そんな中でも、思慮深い津崎校長先生が悩みながらもこどもたちのことを思って、その時々でベストと思われる判断をしながら、しかし結果的に辞職に追いやられていくあたりがなんともやり切れないわけで。わたくし、この校長センセの対処の仕方は教育者として、人間として決して間違ってはいなかったと思うんだけどなー
。本人はどこで失敗をしたのかと考えたとき、自分の「気後れ」のせい、「臆病のせい」と自責の念に苛まれてたけど、津崎先生、ヒトとして優しすぎるのよねぇ
。で、「紋切り型の思いこみで取材するマスコミ」が、そういうデリケートな問題を決定的にブッ壊す
パターン。ほんと、ロクでもないワー
。
さて、わたくし的に楽しみなのは、世間の大非難を浴びてベッコベコ
にされたアイドル新人教師・森内恵美子
がいつどんな風に復活
して来るのか。強固な選民思想的教育論を持つ美人教師がこんなことくらいで潰れるわけがない、とわたくし信じております
。
いざ、第2部へッ
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 「イメージの歴史」(2018.03.07)
- 「プロ野球審判 ジャッジの舞台裏」(2018.02.12)
- 「獣の奏者」5~8巻(2018.01.10)
- 「獣の奏者」1~4巻(2017.11.29)
- 「ハイジが生まれた日」(2017.11.04)
コメント