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2013/04/06

「ブラックボックス」

篠田節子さんの長編新刊book。う~む、篠田さんにしてはエンタテインメント的な盛り上りに欠けたかな~。食の安全に関わる真面目なテーマなのでわざとそうしたのかも知れないけど、篠田ファンのわたくしとしてはちょっと物足りなかったワbearing


生産性と国策に振り回されてきた在来農業、消費者が喜ぶ便利な食品加工の実態、有害物質における国の基準の信頼性、地方の企業城下町の在り様、「研修生」と称した外国人労働者の酷使、学校給食の現場から立ち上がる食アレルギー、匿名性に守られたネットリンチ、現在の日本の多くの問題点を盛り込んだ本作、盛り込みすぎて全体的に濃度が薄まったカンジがしちゃうのよdespair


地元の在来農法の限界を痛感し、しかしあくまでも土を基盤とする農業を模索する三浦剛。環境に左右されず市場の動向にすぐさま対応し、将来的には砂漠地帯へのプラント輸出をも視野に入れた事業を推進する後藤アグリカルチャーの社長・今森。今森の主張には半ば「なるほど~flair」と思っちゃったりもするんだけど、やっぱり人工光と養分液だけの植物ってどうなんだろう…っていう違和感は大きいわよねぇthink


半分ネタバレになっちゃうけど、結局、完全プログラム制御の最先端ハイテク工場は想定外のバクテリア混入で崩壊、納期を守るためにバクテリア根絶の農薬を使ってしまったため残留農薬が基準値を遥かに超えてしまう。本末転倒recycle。市場原理優先の企業倫理の欠如は(どんな大きな理想を(シタリガオで)語っていたとしても)、最終的には何ものをも達成できないってことなんでしょうねぇthink


やっぱり、「何のために、誰のために、企業(事業)活動をするのか」ってのは大事なことなのよねーdiamond。あたりまえのことだけど。


そして小説の中で登場人物が指摘しているように、単独では国が安全だとしている基準のものが複数、人体の中でナノレベルで組み合わされた時にどんな作用を及ぼすか(たとえば小説の中で問題にされている硝酸体窒素(肥料)+タンパク加水分解物(食物由来)=ニトロソアミン(強烈な発癌物質danger)とか)ほとんどわかっていない、という現状で、消費者は選択のしようもなくシステムに組み込まれてしまった場合、どうしようもないtyphoon。十分な情報開示がなされている上で、ほかに選択の余地があるかどうか、っていうのが大事なわけで。


日本のTPP交渉参加も決まったし(果たして聖域はあるのか?)、食品に関する国の安全基準も本当に妥当なのかイマイチ信用できないし、野菜工場は被災地を始め実際あちこちで稼動し始めてるし(具体的にどんな方法なのかはよくわかんないmist)、これからは現実的な対処方法として、わたくしたちは思考停止に陥ることなく情報収集と判断、そして選択をしていくしかないのよねーpunchimpact


3人の主要登場人物たちが、ハイテク農場、ハイテク食品加工場、学校給食の現場で、どういうことが起こっているのかを調べていく過程はいつものように読ませる展開なんだけど、なんせあまりに大きなテーマなもんだから、ラストは不完全燃焼の中に若干の光、ってカンジでどうにもすっきりしないのよね…cloud


でもラストシーン、崖っぷちで闘うアラフォー女rougeたちの逞しさleoに救われる気がするのは、「女たちのジハード」を思い出させてよかったワーconfident

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