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2017/04/20

メモリアルコンサート ~立花千春さんを偲んで~

Tachibanasennseiフルーティストの立花千春先生。わたくしも末席ながらその一員に並ばせていただいていますが、お付き合いのあったたくさんの人たちから本当に深く愛されていた方だったんだな~と改めて実感した一夜でした。1周忌を迎えて、同志の演奏家のみなさんによる追悼公演、ヤマハホールに聴きに行って参りました。


これまで一緒に演奏されて来た方たちの(特に前田綾子さん!そして山田先生!)、とても深い想いのこもった演奏を聴くにつけ、先生の記憶が甦り、何を聴いても何を見てもウルウル来てしまったわたくし、極め付きは2013年の先生のリサイタルの映像でした。リヴィエ「やさしい鳥」とビュッセール「主題と変奏 作品68」。このリサイタルのことはわたくしもよく記憶しています。それほど良い画質ではない動画でも、やっぱり先生の演奏は誰よりも素晴らしいと感じた瞬間、ナミダがとまらなくなってしまいました。もう先生のライヴ演奏が聴けないなんて…。最後の工藤先生による、立花先生愛用のフルートを使用したドビュッシー「牧神の午後への前奏曲(山田武彦編曲)」も音色を聴いているとまるで立花先生が一緒に吹いているような錯覚を覚えました。きっと本当に参加されていらっしゃったのだろうなぁ。


Photoわたくしは社会人になってから趣味で始めたフルートなので、ダメだったら辞めよう、などとカルーい気持ちでおりました。でもこれまで教えて下さった先生たちの熱心なご指導で曲がりなりにもこれまで続けて来られましたが、やはり立花先生は中でもスーパースペシャルな存在でした。わたくしの人生において、東京で立花先生にお会い出来たのは“奇蹟”だったと思います。工藤先生も今回言われていましたが、小学生の頃からの不断の小さな努力の積み重ねが先生の、常に完成度の高い素晴らしい演奏に繋がっていると。普段のレッスンのちょっとしたお手本演奏でも、一度たりとも指が間違っていたりヘンな音を出したり、などということのない完璧な先生でした。でも音楽一直線で来られたせいか、外の世界にはちょっと疎いところもおありで、わたくしのしょーもない仕事の話なんかが逆に面白かったようです。



Photo_5先生は、その人生のたぶん90%くらいは音楽とフルートに捧げられていたのではないかと思います。わたくしが札幌に移動してからも、お会いしてお話をするたびに「今何をさらってるんですか?」とおっしゃり「これこれです。」と答えると、本当に嬉しそうにされる。「『発表会でコレをやりたいですッ!』とムボーにも先生に言ってしまいました。」と言うと「いや~、そういうの、いいですねぇ~。」と子供みたいに喜ばれる。本当に音楽を愛していらっしゃるのだなぁ、と。そんな時はいつも、両目が三日月型にカワイくなって、わたくしの大好きな先生の笑顔でした。今回演奏された方々が、先生とのエピソードを少しずつ話してくれたのを聞いていても、いずれもクスッと笑える、先生のお人柄を偲ばせるものばかり。いつも超難曲をさら~りと吹き終わった瞬間の、「どうだッ!」と言わんばかりのドヤ顔もカワイクて、ついぷっと笑ってしまったのはわたくしだけではないはずです。


そんなチャーミングな先生ですが、読書量もハンパないようで、世阿弥の「風姿花伝」なども読まれていたりして、その奥深さには計り知れないものがありました。“人”としての魅力もこんなところから生まれていたのですね。音楽家としてだけでなく、人間としても厚みと深みのある方だったと思います。


アマチュアのわたくしたちには優しく、しかし確実にステップを上がれるよう指導してくださった先生ですが、プロを目指す学生さんたちにはマジに厳しかったようですね。いろいろな話を耳にしましたが、SNSで書かれている先生の日記を読むたびに、一応社会人経験がン十年あるわたくしから見れば、この上ないほど真剣に、そしてたぶん最後の何年間かは、文字通り“命を削って”彼女たちに接していたように思います。これが真の“人間教育”なのではないかと思います。ほんとに、そんな先生の切実な想いを、学生のみなさんがシッカリと受け止めてくれていることを願うばかりです。


今思い返せば、わたくしたちの前では最後の最後まで明るく振舞われていて、どれほど強靭な精神力だったのかと想いを致さずにはいられません。最後まで全力で生き切って、本当に先生らしいなぁと。でもおやりになりたいことはまだまだたくさんあっただろうに、とも思えばいまだに本当に残念でなりません。


などと、末端にいるわたくしが思うほどですから、長い間ご一緒されていらした山田先生や工藤先生、演奏家の方々の大きな喪失感は想像を絶するものでしょう。でもこのように、会場が暖かい気持ちに満たされた追悼コンサートをつくりあげ、「これをいただけただけで来た甲斐があった!」と思えるほどの出来映えの「メモリアルブック」を作成された実行委員会のみなさんに、心から感謝の念をお伝えしたいです。ありがとうございました。

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