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2017/06/04

「謎と暗号で読み解く ダンテ『神曲』」

謎と暗号で読み解く ダンテ『神曲』 (角川oneテーマ21)

はぁぁ~~、またもや目からウロコパラパラ~~diamondwobbly。やっぱ、たまにこーゆー本も読まなきゃ、アタマ悪くなる一方だワ~coldsweats01。イタリア文学者、東京大学大学院総合文化研究科准教授、村松真理子氏著book


まず、「詩」というものがニガテなわたくしにはハッcoldsweats02sign01とする事実。この「神曲」という作品自体が、「三位一体」の構造を成しているということ。全部で100篇の詩(カント)が、3パート(=カンティカ、つまり、「地獄」「煉獄」「天国」)で構成されており、100篇の詩は1(イントロ)+33編の『地獄篇』+33編の『煉獄篇』+33編の『天国篇』で成り立っている、この数字の組み合わせは「死後の世界」の構造を現しており、中世人にとっては意味深いものなのだそう。すなわち「唯一なる神への信仰と『救済』への道&「100」=丸い数=完全」、ということなのだと。うーtyphoon。奥深すぎるwobbly。そしてそれぞれのカンティカにおいて、3行ごとのまとまりが三段論法のように主人公の旅のステップを物語り、1行目と3行目で脚韻を踏んでいる。この「三行詩」の形式はキリストが死の3日後に甦る、ということと対応している。さらに1行は11音節から成り、11(音節)×3(行)=33音節で、ここでも「三位一体」が表現されている。『3行のひとまとまりが三つ重なった冒頭9行で、作品の発端と作者の意図が語られる。このまとまりが、それぞれの行の11音節と1行ごとの脚韻がつくるリズムを保ちながらずっと最後まで連ねられていく。』ことが『中世ゴシックの大伽藍に喩えられる壮大なことばによる構築物』と言われる由縁なのだとcoldsweats02。スゴすぎ~~~~~coldsweats02coldsweats02coldsweats02


この、ダンテが編み出した心地よいリズムnoteを作る技巧や形式が、700年以上に亘ってうたい継がれるための「記憶」を助け、長いテキストmemoを書き写すときの間違いや改変を起こしにくいようにする要因なのだと。なるほど~~shineconfident。この「神曲」って、イタリア語を話す人々にとってはその90%が理解可能な語彙で成り立ってるらしく、それが直接心に響くheart02のだそう。それを考えると、日本の古典は読めないもんね~~bearing


で、ダンテはなぜこの作品を書いたのかという理由がまたフルってるのよねcatface宗教的世界観・倫理観が非常に重要な意味を持っていた中世文化において、彼は、聖書的な重層的で隠された真実を明らかにしていくべき意味の構造を、「私」を主人公とする物語が語られる「神曲」という、聖書でも聖人伝でもない世俗作品として再現しようとしたのだと。密教でいうところの仏像みたいなもんかしらcoldsweats01。難しい教義を誰でもわかるようにするものcute。ダンテは確かに、当時教養人の間で使われていたラテン語ではなく、世俗の言葉でこれを書き、それが現在のイタリア語の基となっていて、イタリアでは現在でも義務教育の間、中学でも高校でも大学の文学部でも必須科目となって、さんざん勉強させられるらしいpencil。ここで面白いのは、このダンテが記述した言葉が現在も通用する理由なのよね。ダンテの少し後の時代のペトラルカがダンテを称揚しup、ダンテが記述した言葉をオーソライズしたとこがベースにあって、『政治的に半島を統一する「宮廷」の不在が書物や文芸のことばである「書きことば」という共通語の重要性を高めてしまった。』『イタリア半島が政治的に分断されていた歴史的事情のために、比較的大きな変化を被ることなく、イタリア半島とイタリア語は近代を迎えてしまったのだ。』ということらしい。いや~ほんと~に面白いconfident。政治と文化、密着しておりますleftright


その「聖書的な重層的で隠された真実を明らかにしていくべき意味の構造」とは何か(う~、わかりにくい~~sweat01、というのがこの本のテーマなんだけど、これまた難しいdanger。①字義的なもの=“物語”の虚構のことば。まぁ、物語上のもの、そのものってことかな?②アレゴリー=宗教的・倫理的な「隠されたもの」③倫理的なもの=②のうえに倫理的価値を読み取る④アナゴジー=神秘的解釈、ということになるらしいんだけど、微妙過ぎて高度過ぎるしsad。なので、今も世界中で探求中searchであり、筆者もはっきりとは書いてはいないのよbearing。自分で考えなさいねーwink、ってことらしくwobbly。でもそんな13世紀のイタリア人の書く宗教観なんか、理解できるわけないっつーのpoutdash、ってことで、ここからは、いくつか具体的なエピソードを引き合いに出しながら解説を加えてくれてますpencil


まず地獄の門をくぐって最初のところは割と軽めの罪の人たちが集合してます。どんな人たちかっつーと、『生前自分の立場を決断できなかった死者たちの魂だ。彼らは地獄にも煉獄にも迎え入れられることなくそこにとどめおかれている。』彼らをダンテは『かつて真に生きたこともない禍いなる者ども』などと呼んでいるcoldsweats01。なんでこんなヒドい言い方すんのー?coldsweats02って思ったら、どうやら政争bombに巻き込まれてフィレンツェ追放endにまでなったりしたダンテの私怨typhoonから来てるらしくて、こんなところを知ると、ダンテちゃんも(いきなりちゃん付けbleahカワイイヤツやんけcatface。次のエピソードは「ウリッセ」。またの名を「オデュッセウス」という。知性を用いて人々を欺き(例のトロイの木馬ですナhorse)トロイアを滅した「罪」で地獄に落とされてます。『このウリッセの物語の問いは、人間は自らの知性に頼って好奇心とさらなる知の獲得への欲求にひたすらしたがうことが許されているのか、ということだ。つまり神への祈りや赦し、恵みに頼らないでいいのかが問題なのだ。』このあたり、極めて中世的宗教観が現れており、現代日本人のわたくしは「え?別にいーんぢゃないdespair?」とか思っちゃうけど。英雄であり、地獄の罪人であるという二重性は、二つに引き裂かれたダンテ自身のあり方を反映した分身なのではないかと筆者は書いてます。「地獄篇」からもう1エピソード、「ウゴリーノ伯」の物語。時代によって読まれ方が変わるという例。政治的な争いにより4人の息子共々牢獄に入れられたウゴリーノ伯。余りの飢えに苛まれ、息子たちが父に「わたしを食べてください」と言う。しかしそれを拒んでいるうちに息子たちは次々に死んでしまう。そして最後の一行がこれ。『その後、飢えが苦悩を越えた。』これをどう解釈するか。当然、父ウゴリーノ伯も死んでしまった、という解釈が普通だろうけど、カニバリズムを想起させる一行でもあるのよねshock。『これは、いずれにしても劇的な場面だ。ドラマチック。19世紀は演劇が「指導芸術」だった時代であり、ドラマチック、演劇的であることに非常に価値があった。(ドラクロワの作品とバイロンの作品、「神曲」の読みが)同じ時代の感性を通して並んでいる。


そして、天国に昇るために試練を与えられている「煉獄」を通っていよいよ「天国」へupwardright。「天国」ではヴェルギリウスからベアトリーチェへと引き継がれる、彼らとの「対話」によってダンテは未知の知識や情報を得ていくんだけど、その内容が「神学」や「科学」だってところが、ほぉぉぉ~~dashってカンジなのよねcatface。「月天」でベアトリーチェから「科学」と「神学」。「水星天」でローマ皇帝ユスティアヌスから「キリストの神性」「ローマ法の成文化」、ベアトリーチェから「キリストの磔刑と贖罪の意味と復活の真実」「魂の永遠性」、「金星天」でトルバドゥール詩人から「地上での愛欲が浄められた末に宇宙を動かす根源の「愛」にいかに純化されるか」、「太陽天」では聖トマスの魂から「聖フランチェスコの愛と清貧について」聖ボナベントゥーラから「聖ドメニコの生涯」聖トマスから「三位一体の奥義」を教わるという内容。スゲーーーーーcoldsweats02coldsweats02coldsweats02。『ダンテは昇りながら、上昇につれて美しさと輝きをますベアトリーチェと聖なる魂たち、いわば最高の教授陣によって、当時の知識としての「科学」と「神学」についての抗議を受けつづける。そこは光とともに、美しい音楽があふれる世界だ。』その後もいろんな「天」ステージで知識を授けられ、最後の「原動天」で世界の動きの源「天地創造」「天使たちの資質」「神の不可分性」などをベアトリーチェと「対話」でゲットするpencil。でもその中でも「土星天」で聖ベネディクトゥスから修道院の腐敗への批判と刷新の予言を聞くってあたりが当時の世相、特に教会への批判がなされていて、ダンテちゃんらしさを忘れてないわね、ってカンジcatface。天国篇のクライマックスはダンテの救済。『それは知の完成、すなわち神の姿を見ることだ。』もうこのあたりは神々しすぎてshineshineワケわからんtyphoon


まとめとしては『人間的なベアトリーチェの愛が壮大な世界観・死生観の様々なテーマを融合して「神曲」を支えている。ダンテはこの生涯の傑作において中世文化を、人々の語る新しいことば俗語による三行詩という画期的な形式の中で集大成し、百科全書的な知を有機的に、人間的に統合することに成功した』ということでしたdiamond。はー、やっぱり、スゴいimpactとしか言い様がないーsweat01。それも散文ならともかく、韻文でやり切るって、なんなのもーッimpactpoutsign01ってカンジよねーcoldsweats01


でも、これでほんの少し、ヨーロッパ文化spadeのベースを知ることができたんで、今後の絵画artや文学鑑賞bookにちょっとだけ役立つかも知れないワ~~up。って、原書(の翻訳モノ)に当たろうとしないところが、わたくし=ヘタレの面目躍如happy02。テヘヘbleah

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