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2018/04/25

「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。」

鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。

いやー、面白かったーhappy01notes。また一人、専門の話をパンピーにも分かりやすい言葉で語ってくれる人を発見searchしてしまいました~good。国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所主任研究員(長っ)、農学博士の川上和人氏著book


語り口としては、ツチヤ(土屋賢二)先生みたいな感じで、クスッと笑えて、ナイスなセンスsmileを感じさせますねぇhappy01。なんだかんだ言って、鳥への愛heart04がやっぱり深いのよねーcatface。そしてなんといっても川上さんの、自然界への畏敬の念がバリバリthunder伝わって来ますfuji


意外なことに、鳥と人間とは共通点が多いってところが目からウロコ。『二足歩行で、昼行性で、視覚と音声によるコミュニケーションをとり、主に一夫一妻制』。だけど圧倒的な違いimpactがある。『鳥は空が翔べるのだ。』ここに生まれる、未知のものへの憧憬と探求心が川上さんを突き動かしてるんですねーhappy01


鳥たちの働きの中で、なるほどすご~coldsweats02って感じたのは、新しく生まれた島に新しい生態系を作り出す力punch。この本の中でも、川上さんのチカラthunderが入ってるワーと感じたのが、1973年に小笠原諸島の火山の噴火で生まれた西之島新島にまつわる話。『溶岩にまみれた大地には植物が育つ土壌がない。そんな不毛の大地にも海鳥は巣を作り始めるはずだ。彼らは巣材に用いるため海岸に漂着した木片や旧島の植物を新島に運ぶ。巣に堆積した有機物は分解され、糞は土壌に栄養を供給する。海鳥の体に付着した種子は巣を苗床に成長し、湿度と温度の安定した巣内は昆虫のすみかになる。鳥が生態系を拡散するのだ。』なんか、ロマンティックheart02だわよねーcatface。ちなみに鳥によって拡散するものには、食べられた小さなカタツムリsnailもいるんだとか。消化管の中をくぐり抜けて生きて出てくる個体もあるそうでcoldsweats02


これに関係して面白かったのは、絶海の孤島、南硫黄島での調査の準備についての話。南硫黄島は原生自然環境保全地域に指定されて厳しく立ち入りが制限dangerされているのと、島が断崖絶壁で簡単には上陸できないbanってことによって、調査もほとんど行われていないんだけど、川上さんが2007年の調査に参加することになって、その準備がなかなか面白いのよねーsmile。その絶壁を登るための体力作りをあっさり諦めるくだりも可笑しいんだけどcoldsweats01、とにかく、守られてきた原生自然を壊さないために、ありとあらゆる道具を新品newにするのね。それが『難しい特殊な道具は冷凍庫で凍らせ、アルコールで拭き、掃除機で吸い、お祈りをし、可能な限りの対策を施』すそうcoldsweats02。その荷造りにも細心の注意を払い、さらに調査員は、出発の1週間前から種子のある果実appleを禁じられるのだとかcoldsweats02。万が一、うん○に外来種子が残ってたりすると大変だからsmile。川上さんは『人知れず果実絶ちの修行に入り、腹いせに亀田製菓の柿の種を貪る。


川上さんの、自然界への畏敬の念はこの著作の全編に渡って現れてるんだけど、特にわたくし感動したのは、「回転運動recycle」のクダリと色彩の話。「回転運動recycle」をするというのは前に進むためには全くもって無駄のない動きなのに、動物の生態に取り入れられていないのは何故なのか考察した章は出色でしたfuji。首を振りながら歩くニワトリやハトの動きについて、首を振るのではなく、頭を固定して体を移動させて安定した視界を維持しているっていう記述には、マジビックリしたワーimpact。『食物の発見でも捕食者の警戒でも、視界は重要な役割を果たす。しかし、回っていると景色が動き続けて視界が安定しない。これでは獲物も捕食者も到底発見できない。いかに運動効率がよくとも、命の危険は採用を見送る大きな根拠となる。彼らは回らなくて当然なのだ。』しかし、植物界では、様々な種子が翼を持って回転しながら落下する。それは回転によって落下する時間が長くなり、風でより遠くまで種子が運ばれる可能性が広がるから。いやー、ホントによく出来てる~~ぅcoldsweats02



色彩
について。自然界には色鮮やかなものと地味なものとが存在する。それぞれ合理的な理由があり、その説明にいちいち感嘆してしまうのよね~confident。色を作り出すにはコストがかかるけど『色は世界と取引するための順当な手段となっており、これを基準とした戦略が練り上げられているのだ。』一方、褐色や黒など地味な色彩にも意味がある。『自然界には、他者の目にさらされることで磨かれてきた上昇志向の粋たる色彩と、誰に見てもらうためでもない純粋な色の2種類が存在する。どちらもそれぞれに美しく目に映るのだから侮れない。


外来種問題については、すごく分かりやすい例で説明してくれて、またまた超納得confident。『日本にノウサギがいて、月にツキウサギがいるとしよう。それぞれの種をお互いに野生化させうまく共存できれば、日本も月も2種のウサギがいることになる。この場合は各地域にいる生物の種数が2倍に増えただけで、特に問題がなさそうにみえる。しかしその一方で、地域の生物相の独自性が失われていることに気付くだろう。元の状態では、地球と月のそれぞれが異なる独自の生物相を持っていたが、事後には両地域の生物相が同じになっている。たとえ1種も絶滅せずとも、地域ごとに固有の生態系があるという多様性が失われている。外来生物問題は、絶滅なき侵略というグローバリゼーションによる世界均質化の問題を孕んでいるのだ。』なるほろ~~confident


あと、わたくし、無知なもんで、今回これを読んで初めて知ったのが、鳥の先祖は恐竜だったってことcoldsweats02。『鳥が飛翔のために進化させたかのように見える各種特徴は、実は飛ばない恐竜が既に備えていたものだったのだ。飛行という新たな目的にこれらの器官を転用することで、鳥は空を飛ぶという偉業をなしえたのである。』はぁ~dash、生物とはなんと奇跡的なものかshinesign03


さて、こんなに生物愛heart02に溢れた川上さんだけど、新種の鳥shineを日本発で発表するという千載一遇のチャンスを、自らの怠惰のせいで逃してしまったという大失敗を犯していたng。それも正直に告ってるところが好感度高しup


今回始めて読んでみた川上さんの本だけど、その世界では著名な方のようで、他の著作book、特に恐竜がらみも面白そうなので読んでみよーっとhappy01

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