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2018/08/09

「絶対音感」

絶対音感

今さらながらのコレだけどcoldsweats01、出版からかなり経って、現在、特に科学的な部分(特にAIの分野)は進歩してると思うけど、面白かった~happy01。1998年刊行の、フリーライター最相葉月氏著book


話題になった頃に買ってずっと積ん読だったのを、自分で楽器を少しやるようになってから読むと、さらに深く楽しめるというもんです。と、積ん読を正当化するbleah。だって、先生とデュエットしてる時に時々聴こえてた「うなり」の理由もわかっちゃったもんねー(『周波数の近い和音の場合は、一つの聴覚フィルターの中に入ってしまうためにうなりが生じて不協和音となります。』)。



「絶対音感」という、持たざる者(わたくしは持ってないデスsmile)にとってはなにやら神々しい響きshineを感じるターム。この本では音楽家、科学者、業界関係者などを取材して、いろんな角度から考察を重ねてます。「絶対音感は、あれば便利だけど(特に現代音楽を演奏するには)、なくてもいい(あると邪魔な場合もある)」というのが一応の結論なんだけど、わたくし的にはむしろ、このテーマをとっかかりにした「人間の聴覚の驚異」と「その聴覚を通した音楽の聴き方」、そこから「人間にとっての音楽とは何か」へと著者の思考が展開されていくところが面白かったですねーhappy01。科学パートで書かれてる文章の意味がイマイチよくわかんないtyphoonところもあったりはするのだけど(わたくしの読解力が足りないせいかsweat02)、全体を通して著者の誠実な姿勢が感じられましたheart02


人間の聴覚のスゴさについて、最初におcoldsweats02sign01と思ったのは『こうした知覚の不思議さが感じられる最も身近な例が、オーケストラで全奏者がA音にチューニングするときである。私たちはそのとき、それぞれの楽器が奏でる音色は多様であり、高さは同じと感ずることができる。チューニングとは音程を合わせることだから当然なのだが、周波数構成がまったく違う楽器同士が同じ高さと感ずるのは、実は聴覚の成せる妙技なのである。』そーゆーことなのねーconfident。さらに、聴覚を始め人間の知覚の原則について。『知覚の原理そのものが、意識しようが無意識であろうが、気になる情報だけから世界を再構成しているということだ。』なるほどflair。現在の日本の社会は、この極端な例が突出してるってコトなのね~despair。やっぱり人間は意識して、自分の視野を広げないといけない、とon



日本の、クラシック音楽の音感教育の歴史や戦時中のエピソードは興味深いものがありました。ほんとに、戦争は何でも利用するんだなぁ~wobbly。「移動ド」だの「固定ド」だのなんて全然聞いたことなかったしbearing。日本では音名と階名が同じ…って、何のことやらさっぱり…typhoon。 戦争に関連して、ものすごく腑に落ちたのがこの記述。『二十世紀の現代音楽の中心的存在であるユダヤ人のシェーンベルクが発したメッセージは反ナチス、つまりナチスが悪用したワーグナー音楽の<絶対性>を調性原理を破壊することによって脱却することだったといわれる。』。ははぁ~think。芸術は押し並べて直前のムーヴメントへのアンチテーゼpunch新しい潮流newを生み出して来たけれど、また社会とも無縁ではいられないもの。しかし、(わたくしにとっては)理解不能の無調音楽にこんな骨太の思想があったとはcoldsweats02sign01またまた無調音楽を聴くときの姿勢が改められましたsmile



今も現役バリバリthunderの著名な演奏家さんから核心に触れる話をしっかり引き出して、というか、千住真理子さんや五嶋みどりさんなど、このテのちょっと怪しげsmileなテーマでもきちんと話をしてくれてるのが、音楽家としても人間としても器が「大きい」感じがしますねーhappy02。お二人とも若くして大変なご苦労をされたという経験がそうさせていて、もはや「絶対音感」も超越していて、「音楽とは」っていう永遠に解けないテーマを探索しているconfident


大物演奏家のエピソードで面白かったのは、ディースカウやカザルスのピアノ伴奏者・ジェラルド・ムーアさん。『私の<絶対音感>が最も能力を発揮していた頃、私としばしば一緒に仕事をしていた声楽家から、ある曲を変イ長調から変ト長調に低く移調してほしいと頼まれた。変イ長調で歌うと、曲の終わりは最高音の変イ音を出さなくてはならなかった。それで彼はたじろいだのである。私は演奏会の前に数時間練習して、この移調を引き受けた。曲のなかほどの数十小節の区間を除くと、そんなに困難な移調ではなかった-しかし、その区間は、厄介な臨時記号がうじゃうじゃうごめく、まったく驚異的な転調の場所であった。本番で私は、心に秘めた自信をもってこの移調曲を弾き始めた。けれども、動きの速い、ダブルシャープやダブルフラットのついている暗い森へ近づいたとき、私はあがってしまった-実際、私は道に迷ったのである。私は深い藪のなかを斧で叩きながらがむしゃらに突き進んだ。藪が切り払われた開拓地にやっとのことで現れたとき、私はギョッとして飛び上がりそうになった。ああ何ということだろう。私は原調より低くではなく、高く移調して弾いていたのである。これは私の同僚を危うく殺すところであった。なぜならば、彼はそのとき期待していた変ト音の代わりに、三度も高い変ロ音を歌わなくてはならなかったからである。私は、そのときの彼の飛び出した目、はれあがった首すじ、そして水から飛び出る魚のように、彼の声域を越える音へととびついた瞬間のものすごい声を思い出すと、何ともいえない不快な罪深い気持ちが未だにじわじわとしのび寄ってくるのを感じる。そして、これが美しい友情の終わりとなってしまったのであった。



今、いろいろな音楽会notesを聴きに行ってるけど、シロートとして、成る程flairと思ったこともたくさんありましたねーhappy01。例えば『同じ人間でも音楽を楽しもうとするときにはピッチ(心理量)で聴き、仕事などで調弦しようとするときには周波数(物理量)で聴く。その注意の向け方によって、同じ音でも聴こえ方が違ってくるのではないか』という神経生理学者の推論とか。さしずめシロートのわたくしは、常にピッチで聴いてるってコトですねsmile



20年も前の著作だけど、わたくしにとってはタイムリーな内容だったカモnote。願わくば、最相さんには最新の科学的情報を盛り込んで、続編を出していただきたいところですhappy01

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