カテゴリー「書籍・雑誌」の382件の記事

2018/06/17

「マンチュリアン・リポート」

マンチュリアン・リポート (講談社文庫)

うーむ、このシリーズ、だんだんわたくしにとってはちょっとセンチメンタル過ぎるカンジになってきたワ~despair。浅田次郎さんの中国近代歴史シリーズ第4弾book


前作「中原の虹」の主人公、張作霖が爆殺bombimpactされる事件を題材にした中篇。元々わたくし、このあたりの歴史に疎いのでweep、サスペンス仕立ての事件解明のはイマイチよくわかんなかったcoldsweats01typhoonけど、語り手のひとり、っつーか1機関車train?の「モノローグ」は、先の流れが読めて、浅田文学好きのわたくしもちょっと鼻白んじゃった…gawk


2種類の語り手がそれぞれ現在と過去の時制watchを担っており、それが交互に現れる構成は、しかも語り口が対照的leftrightで、面白かったconfident。人物も懐かしい面々が次々に登場して、彼らがメインストリームで活躍shineしていた頃のことを思い出して、ちょっとワクワクしたりheart04、シンミリしたりweep。このあたり、ほんと相変わらずウマいワーgood


しかし、張作霖の描き方がやはし、マンガ・ヒーロー的過ぎるのも気になるし、シリーズのこれまでの作品はどちらかとゆーとファンタジー色が強いストーリー展開だったので、中華皇帝crown正統性の象徴としての「龍石」の存在もアリだなーと思ってたけど、今回は、現実のナマナマシい事件を扱っているだけに、ちょっとウいてきてるカンジもしてdespair


しかし、著者の、「中国」という“大人”の国に対する尊敬の念diamondと、対するこの時代の日本への忸怩たる思いというものをヒシヒシと感じる一作でしたconfident

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2018/04/25

「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。」

鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。

いやー、面白かったーhappy01notes。また一人、専門の話をパンピーにも分かりやすい言葉で語ってくれる人を発見searchしてしまいました~good。国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所主任研究員(長っ)、農学博士の川上和人氏著book


語り口としては、ツチヤ(土屋賢二)先生みたいな感じで、クスッと笑えて、ナイスなセンスsmileを感じさせますねぇhappy01。なんだかんだ言って、鳥への愛heart04がやっぱり深いのよねーcatface。そしてなんといっても川上さんの、自然界への畏敬の念がバリバリthunder伝わって来ますfuji


意外なことに、鳥と人間とは共通点が多いってところが目からウロコ。『二足歩行で、昼行性で、視覚と音声によるコミュニケーションをとり、主に一夫一妻制』。だけど圧倒的な違いimpactがある。『鳥は空が翔べるのだ。』ここに生まれる、未知のものへの憧憬と探求心が川上さんを突き動かしてるんですねーhappy01


鳥たちの働きの中で、なるほどすご~coldsweats02って感じたのは、新しく生まれた島に新しい生態系を作り出す力punch。この本の中でも、川上さんのチカラthunderが入ってるワーと感じたのが、1973年に小笠原諸島の火山の噴火で生まれた西之島新島にまつわる話。『溶岩にまみれた大地には植物が育つ土壌がない。そんな不毛の大地にも海鳥は巣を作り始めるはずだ。彼らは巣材に用いるため海岸に漂着した木片や旧島の植物を新島に運ぶ。巣に堆積した有機物は分解され、糞は土壌に栄養を供給する。海鳥の体に付着した種子は巣を苗床に成長し、湿度と温度の安定した巣内は昆虫のすみかになる。鳥が生態系を拡散するのだ。』なんか、ロマンティックheart02だわよねーcatface。ちなみに鳥によって拡散するものには、食べられた小さなカタツムリsnailもいるんだとか。消化管の中をくぐり抜けて生きて出てくる個体もあるそうでcoldsweats02


これに関係して面白かったのは、絶海の孤島、南硫黄島での調査の準備についての話。南硫黄島は原生自然環境保全地域に指定されて厳しく立ち入りが制限dangerされているのと、島が断崖絶壁で簡単には上陸できないbanってことによって、調査もほとんど行われていないんだけど、川上さんが2007年の調査に参加することになって、その準備がなかなか面白いのよねーsmile。その絶壁を登るための体力作りをあっさり諦めるくだりも可笑しいんだけどcoldsweats01、とにかく、守られてきた原生自然を壊さないために、ありとあらゆる道具を新品newにするのね。それが『難しい特殊な道具は冷凍庫で凍らせ、アルコールで拭き、掃除機で吸い、お祈りをし、可能な限りの対策を施』すそうcoldsweats02。その荷造りにも細心の注意を払い、さらに調査員は、出発の1週間前から種子のある果実appleを禁じられるのだとかcoldsweats02。万が一、うん○に外来種子が残ってたりすると大変だからsmile。川上さんは『人知れず果実絶ちの修行に入り、腹いせに亀田製菓の柿の種を貪る。


川上さんの、自然界への畏敬の念はこの著作の全編に渡って現れてるんだけど、特にわたくし感動したのは、「回転運動recycle」のクダリと色彩の話。「回転運動recycle」をするというのは前に進むためには全くもって無駄のない動きなのに、動物の生態に取り入れられていないのは何故なのか考察した章は出色でしたfuji。首を振りながら歩くニワトリやハトの動きについて、首を振るのではなく、頭を固定して体を移動させて安定した視界を維持しているっていう記述には、マジビックリしたワーimpact。『食物の発見でも捕食者の警戒でも、視界は重要な役割を果たす。しかし、回っていると景色が動き続けて視界が安定しない。これでは獲物も捕食者も到底発見できない。いかに運動効率がよくとも、命の危険は採用を見送る大きな根拠となる。彼らは回らなくて当然なのだ。』しかし、植物界では、様々な種子が翼を持って回転しながら落下する。それは回転によって落下する時間が長くなり、風でより遠くまで種子が運ばれる可能性が広がるから。いやー、ホントによく出来てる~~ぅcoldsweats02



色彩
について。自然界には色鮮やかなものと地味なものとが存在する。それぞれ合理的な理由があり、その説明にいちいち感嘆してしまうのよね~confident。色を作り出すにはコストがかかるけど『色は世界と取引するための順当な手段となっており、これを基準とした戦略が練り上げられているのだ。』一方、褐色や黒など地味な色彩にも意味がある。『自然界には、他者の目にさらされることで磨かれてきた上昇志向の粋たる色彩と、誰に見てもらうためでもない純粋な色の2種類が存在する。どちらもそれぞれに美しく目に映るのだから侮れない。


外来種問題については、すごく分かりやすい例で説明してくれて、またまた超納得confident。『日本にノウサギがいて、月にツキウサギがいるとしよう。それぞれの種をお互いに野生化させうまく共存できれば、日本も月も2種のウサギがいることになる。この場合は各地域にいる生物の種数が2倍に増えただけで、特に問題がなさそうにみえる。しかしその一方で、地域の生物相の独自性が失われていることに気付くだろう。元の状態では、地球と月のそれぞれが異なる独自の生物相を持っていたが、事後には両地域の生物相が同じになっている。たとえ1種も絶滅せずとも、地域ごとに固有の生態系があるという多様性が失われている。外来生物問題は、絶滅なき侵略というグローバリゼーションによる世界均質化の問題を孕んでいるのだ。』なるほろ~~confident


あと、わたくし、無知なもんで、今回これを読んで初めて知ったのが、鳥の先祖は恐竜だったってことcoldsweats02。『鳥が飛翔のために進化させたかのように見える各種特徴は、実は飛ばない恐竜が既に備えていたものだったのだ。飛行という新たな目的にこれらの器官を転用することで、鳥は空を飛ぶという偉業をなしえたのである。』はぁ~dash、生物とはなんと奇跡的なものかshinesign03


さて、こんなに生物愛heart02に溢れた川上さんだけど、新種の鳥shineを日本発で発表するという千載一遇のチャンスを、自らの怠惰のせいで逃してしまったという大失敗を犯していたng。それも正直に告ってるところが好感度高しup


今回始めて読んでみた川上さんの本だけど、その世界では著名な方のようで、他の著作book、特に恐竜がらみも面白そうなので読んでみよーっとhappy01

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「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。」

鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。

いやー、面白かったーhappy01notes。また一人、専門の話をパンピーにも分かりやすい言葉で語ってくれる人を発見searchしてしまいました~good。国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所主任研究員(長っ)、農学博士の川上和人氏著book


語り口としては、ツチヤ(土屋賢二)先生みたいな感じで、クスッと笑えて、ナイスなセンスsmileを感じさせますねぇhappy01。なんだかんだ言って、鳥への愛heart04がやっぱり深いのよねーcatface。そしてなんといっても川上さんの、自然界への畏敬の念がバリバリthunder伝わって来ますfuji


意外なことに、鳥と人間とは共通点が多いってところが目からウロコ。『二足歩行で、昼行性で、視覚と音声によるコミュニケーションをとり、主に一夫一妻制』。だけど圧倒的な違いimpactがある。『鳥は空が翔べるのだ。』ここに生まれる、未知のものへの憧憬と探求心が川上さんを突き動かしてるんですねーhappy01


鳥たちの働きの中で、なるほどすご~coldsweats02って感じたのは、新しく生まれた島に新しい生態系を作り出す力punch。この本の中でも、川上さんのチカラthunderが入ってるワーと感じたのが、1973年に小笠原諸島の火山の噴火で生まれた西之島新島にまつわる話。『溶岩にまみれた大地には植物が育つ土壌がない。そんな不毛の大地にも海鳥は巣を作り始めるはずだ。彼らは巣材に用いるため海岸に漂着した木片や旧島の植物を新島に運ぶ。巣に堆積した有機物は分解され、糞は土壌に栄養を供給する。海鳥の体に付着した種子は巣を苗床に成長し、湿度と温度の安定した巣内は昆虫のすみかになる。鳥が生態系を拡散するのだ。』なんか、ロマンティックheart02だわよねーcatface。ちなみに鳥によって拡散するものには、食べられた小さなカタツムリsnailもいるんだとか。消化管の中をくぐり抜けて生きて出てくる個体もあるそうでcoldsweats02


これに関係して面白かったのは、絶海の孤島、南硫黄島での調査の準備についての話。南硫黄島は原生自然環境保全地域に指定されて厳しく立ち入りが制限dangerされているのと、島が断崖絶壁で簡単には上陸できないbanってことによって、調査もほとんど行われていないんだけど、川上さんが2007年の調査に参加することになって、その準備がなかなか面白いのよねーsmile。その絶壁を登るための体力作りをあっさり諦めるくだりも可笑しいんだけどcoldsweats01、とにかく、守られてきた原生自然を壊さないために、ありとあらゆる道具を新品newにするのね。それが『難しい特殊な道具は冷凍庫で凍らせ、アルコールで拭き、掃除機で吸い、お祈りをし、可能な限りの対策を施』すそうcoldsweats02。その荷造りにも細心の注意を払い、さらに調査員は、出発の1週間前から種子のある果実appleを禁じられるのだとかcoldsweats02。万が一、うん○に外来種子が残ってたりすると大変だからsmile。川上さんは『人知れず果実絶ちの修行に入り、腹いせに亀田製菓の柿の種を貪る。


川上さんの、自然界への畏敬の念はこの著作の全編に渡って現れてるんだけど、特にわたくし感動したのは、「回転運動recycle」のクダリと色彩の話。「回転運動recycle」をするというのは前に進むためには全くもって無駄のない動きなのに、動物の生態に取り入れられていないのは何故なのか考察した章は出色でしたfuji。首を振りながら歩くニワトリやハトの動きについて、首を振るのではなく、頭を固定して体を移動させて安定した視界を維持しているっていう記述には、マジビックリしたワーimpact。『食物の発見でも捕食者の警戒でも、視界は重要な役割を果たす。しかし、回っていると景色が動き続けて視界が安定しない。これでは獲物も捕食者も到底発見できない。いかに運動効率がよくとも、命の危険は採用を見送る大きな根拠となる。彼らは回らなくて当然なのだ。』しかし、植物界では、様々な種子が翼を持って回転しながら落下する。それは回転によって落下する時間が長くなり、風でより遠くまで種子が運ばれる可能性が広がるから。いやー、ホントによく出来てる~~ぅcoldsweats02



色彩
について。自然界には色鮮やかなものと地味なものとが存在する。それぞれ合理的な理由があり、その説明にいちいち感嘆してしまうのよね~confident。色を作り出すにはコストがかかるけど『色は世界と取引するための順当な手段となっており、これを基準とした戦略が練り上げられているのだ。』一方、褐色や黒など地味な色彩にも意味がある。『自然界には、他者の目にさらされることで磨かれてきた上昇志向の粋たる色彩と、誰に見てもらうためでもない純粋な色の2種類が存在する。どちらもそれぞれに美しく目に映るのだから侮れない。


外来種問題については、すごく分かりやすい例で説明してくれて、またまた超納得confident。『日本にノウサギがいて、月にツキウサギがいるとしよう。それぞれの種をお互いに野生化させうまく共存できれば、日本も月も2種のウサギがいることになる。この場合は各地域にいる生物の種数が2倍に増えただけで、特に問題がなさそうにみえる。しかしその一方で、地域の生物相の独自性が失われていることに気付くだろう。元の状態では、地球と月のそれぞれが異なる独自の生物相を持っていたが、事後には両地域の生物相が同じになっている。たとえ1種も絶滅せずとも、地域ごとに固有の生態系があるという多様性が失われている。外来生物問題は、絶滅なき侵略というグローバリゼーションによる世界均質化の問題を孕んでいるのだ。』なるほろ~~confident


あと、わたくし、無知なもんで、今回これを読んで初めて知ったのが、鳥の先祖は恐竜だったってことcoldsweats02。『鳥が飛翔のために進化させたかのように見える各種特徴は、実は飛ばない恐竜が既に備えていたものだったのだ。飛行という新たな目的にこれらの器官を転用することで、鳥は空を飛ぶという偉業をなしえたのである。』はぁ~dash、生物とはなんと奇跡的なものかshinesign03


さて、こんなに生物愛heart02に溢れた川上さんだけど、新種の鳥shineを日本発で発表するという千載一遇のチャンスを、自らの怠惰のせいで逃してしまったという大失敗を犯していたng。それも正直に告ってるところが好感度高しup


今回始めて読んでみた川上さんの本だけど、その世界では著名な方のようで、他の著作book、特に恐竜がらみも面白そうなので読んでみよーっとhappy01

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2018/03/07

「イメージの歴史」

イメージの歴史 (ちくま学芸文庫)

はー、こーゆー著作こそ、広く読まれるべきなのよね~think。主に西洋美術史を研究されてきた若桑みどり氏2010年の著book。以前読んだ「しぐさで読む美術史」が飽き足らず、買ってあった本書を読んでみたら、そのあまりの深さwaveに感嘆してしまったワーcoldsweats02。こりゃ一読では終われないwobbly


「芸術」は“必要不可欠なものではない”とよく言われるけど、“権力者”にとっては“最重要ツール”なのよね。この使い方を熟知しているとその“権力を強化”することができる。まぁ、ナチスがいい例だけど。翻って考えれば、わたくしたち一般大衆はその意味するところをよく理解しておかなければならない、というわけで、この著書を読むべし、デスangrypunchimpact


古代ギリシアの“カノン”から、ヨーロッパ(白人社会)で延々と手を替え品を替え、一貫して引き継がれ続けている“権力強化”の刷り込みツールとしての芸術の機能を、この著作では解説してくれています。ある程度そのあたりの意識があれば、これまでなんとなく気付いていたことも、これだけ例を挙げて詳細に解き明かしてくれると、その緻密さに驚き、それにまんまと乗せられてきた自分自身にも気付くflairって寸法ですsad


若桑さんの専門領域である「ジェンダー論」も鋭いthunder。鋭すぎて、若干辟易してしまう部分もないとは言えないけどcoldsweats01、最終章の、東京23区の公共彫刻について言及している部分では、思わず己の視線を省みてしまいましたdespair。若桑さんもご自身について言われてるけど、公共の場になぜこれほどまでに女性のセクシャルなイメージkissmarkを喚起する像が林立しているのか、その男性目線をいつのまにか“内面化”してしまってる自分がいる、って改めて気付かされるshock


日常をバタバタと送っていると、当然のようにスルーしてしまったり何も考えずに受容してしまっていることも、時々立ち止まって考える必要があるのよね~~think。そんな時間、取れてるかしら…bearing

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2018/02/12

「プロ野球審判 ジャッジの舞台裏」

プロ野球審判 ジャッジの舞台裏

これを読むと、今後のプロ野球baseballをみる時の目線eyeがキャッチャーの後ろにも行くこと必至ッsmilesign01野球観戦をする時の視野が広がる一冊good。元プロ野球審判員で、現在日本野球機構技術委員の山崎夏生さん著book


ご自身の大失敗や恥ずかしい思いをしたことなども包み隠さず記しているところが好感度大happy01upsign01こういう本を読むと必ず思い出す、元宇宙飛行士の毛利さん。毛利さんの「オレ様自慢」は破壊的impactだったなぁ~coldsweats01。人間としての器の大きさを測るバロメーターよね~~smile


そんな等身大の記述が続くのだけど、やはり「野球baseball大好きheart04」の思いだけでここまで根性入れて働き続けるってゆーのは(まだ現役でいらっしゃいますが)、そうそう出来るものでもないと思うのよねーbearing。スゴイですよぉfuji。ご家族のご心配も並大抵ではなかったでしょうsweat01


で、こーやって、プロ野球審判員へファンの視線eyeを向けさせ、審判員の地位向上upwardrightに努め、日本プロ野球の魅力増大sunに一役買っていらっしゃるんですから、本当にご立派ですcrown


北海道大学ご出身で、北海道とのご縁も浅からぬ山崎さんspade、これからもいろいろ面白いお話聞かせていただきたいものです~happy01note

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2018/01/10

「獣の奏者」5~8巻

獣の奏者(5) (講談社青い鳥文庫)

いや~、前半も面白かったけど、この後半、格段に深みが増して驚きの展開にーーcoldsweats02sign03


ラストのカタストロフィを読んだ後には、やはり「人間とは同じ間違いを繰り返す生き物」なのだと感じると同時に、しかしそれには「真実が隠されていた場合」という注釈がつく、ってことにも気付くのねflair。世界を破滅へと導いた原因がなんであったかを探求し、それを秘匿することなく正しく継承していけば、同じ間違いを犯す可能性は低くなるはず…、という作者の信念が伺えますconfident


正しく知識を使う”、これこそが「人類の英知crownなのであるとするならば、今、この地球上で「国家」という縄張りの間で行われていることの、なんと小さく卑小なことか。「国家間」のみならず、「国家内」でも「秘密保持」の名の下に永遠に「真実が隠され」ようとしている。“優秀な自分たちだけ秘密を保持する権利がある”という考えは傲慢であると同時に恐るべき無知でもあるthink。こんなことを続けている限り、この世界から「戦争」bombimpactというものはなくならないだろうなーngwobbly


主人公・エリンちゃんの周りの世界を描いた前半から、後半は一気に世界が広がり、リョザ神王国とその周辺に位置する国々との関係が描かれていく。そして、唯一王獣を扱えるエリンに対し、周辺国との戦争に王獣を使うよう命が下される。当然、エリンちゃんは自分の使命と、家族を守らんとする意識の間に挟まれ、激しい苦悩に苛まれるようになる、ってとこがもう圧倒的に深いのよね~wave


そして人間の手によって、醜い目的のために不自然に増やされ、不自然な生態を生きなければならなくなった動物たちを、戦争の武器として使おうとする人間たちは、その目的の醜さゆえに自らの身を滅ぼすことになるdanger。やっぱりこれって、核兵器をはじめとする軍事兵器というもののアナロジーでもあると思うのよねーthink


最終的には、多くの犠牲とひきかえに王獣と闘蛇は野生に還り、世界は破滅の一歩手前で踏みとどまったけど、結局のところ「人間」も、その行動原理の根底にあるのは「恐怖shockなのかと思うとやっぱりムナシい気持ちになるものですgawk

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2017/11/29

「獣の奏者」1~4巻

まさしくハイ・ファンタジーの王道crownsign01ウワサには聞いていたearpaper上橋菜穂子さんshine、初めてその作品を読んでみたらば、そのガッチリと緻密diamondに構成された世界観に感服いたしましたーfujishine


テーマは、人間とその他の生き物との関係、人間の欲望、戦争などなど。優れたファンタジーは現代を生きるわたくしたちにも、考えるための多くの示唆flairを与えてくれるものですconfident


物語の最初は、雨降る深夜rainに、主人公エリンのお母さんが、獣ノ医術師として「闘蛇」の様子を診に行き、家にそっと戻ってくるシーンから始まる。雨の夜、この、圧倒的に暗くて冷たく湿った感じからの幕開きがなんともわたくし好みcatfaceで、すでに最初からガチッimpactrockと掴まれてたのよねーhappy01


エリンのお母さんが、闘蛇衆の獣ノ医術師として失策を犯してしまった罰で、「闘蛇」に食い殺されてしまうシーンcoldsweats02や、エリンちゃんが育てた王獣リランが初めて闘蛇と闘うthunderシーン、ラストのガチバトルimpactなど、大人が読んでも震え上がるほどの残酷で恐ろしい情景なんだけどshock、上橋さんの筆致は、実に平易で激しいところがない。子供でも読める易しい、穏やかな教養を感じさせる文章でありながら、この戦慄すべき場面bombをものすごい迫力脳裏に喚起させる作家には、わたくしこれまで出会ったことがないsign01本当にビックリだワーcoldsweats02impact


取った人間に決して懐くことがない王獣との間に意思の疎通まで可能にしてしまったエリン。これは、彼女の飽くなき好奇心と探究心searchから自ら学び取ったpencil技のお陰なんだけど、師匠であるエサル師から『すべての生き物が共通して持っている感情は<愛情>ではない。<恐怖>よ。』と言われる。物語の中でもエリンとリランの人間っぽい感情の交感があって、わたくしたち読者もなんとなく甘い心地好さspaにシバシ浸ってしまうのだけど、上橋さんはそんな“スウィートな幻想”をコッパミジンに打ち砕くthunderpunchbomb。そーよねー。んなワケないわよねーweep。そんなキビしさthunderを何度もこれでもか、これでもかと描いた末のラスト・シーンend。ヤバ過ぎるbell。「すべての生き物が共通して持っている感情は<恐怖>」かもしれないけど、親子の<情愛>もやっぱりあるのではないか、ってことが描かれてるのよねーconfident。このシーンを地下鉄subwayの中で読んでたんだけど、思わず目がシバシバシバシバ…weep


もうひとつ、わたくし、おぉ…と思った部分がありました。王獣を操れるということがバレた後、リョザ神王国の人間に王獣を使って王国を守るよう告げられた時、エリンはこう考える。『(王獣で闘蛇を制御する。音無し笛で、王獣を制御するように…。)なるほど、人という生き物は、こういうふうに思考するのだな』と。これ、まさしく、戦争の武器bombの話。核兵器を始め強力な軍備を持つことによって相手を威嚇し、制御しようとする思考danger。賢明なる王国の王は闘いを避け、融和の道cloverを選ぼうとするんだけど……。



ここまでの展開では、王国のかたちにまとまりが着かないまま終わってしまっているので、この「武器問題」や、「歴史は繰り返される問題」(王獣と闘蛇が武器として使われ、国が滅びたという)がどのように昇華されるのか、続きが気になるところ。


そして実はもうひとつ、わたくし、すっごく感銘upを受けた一文があったのよね~happy01。リョザ神王国はどうやら代々女性noteがトップになるようなんだけど、この物語では「女王」ではなく「」と記述されているのが、すっごく嬉しくてhappy01。先代の真王(ヨジェ)、ハルミヤが難しい問題に決断を下す場面で『彼女は王であった。』ジェンダーフリーのお手本ッfujisign01カックイーッimpacthappy02sign03


そして面白かったのは、カザルム学舎schoolでのエリンの親友、いつも前向きで陽気sunなユーヤンribbon。彼女には訛りがあるってゆー設定なんだけど、それが“関西弁”。エリンやユーヤンがしゃべってる言葉は日本語ぢゃないと思うんだけど、“関西弁”。いいワ~~smilesmile


ということで、続編に突入しますdashsign01

 

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2017/11/04

「ハイジが生まれた日」

ハイジが生まれた日――テレビアニメの金字塔を築いた人々

これ、読んでると今すぐ「ハイジ」のビデオcdを見たくなっちゃう~catface。長年、アニメ作品「アルプスの少女ハイジ」について関係者の話を採取してきたmemopencilちばかおり氏の著作book。サブタイトル「テレビアニメの金字塔を築いた人々」。



わたくし自身は、もちろんこの作品のことは知ってるし、再放送などでチラと見てた記憶はあるけどcoldsweats01、これほどまでに大切に大切にheart02作られて来た作品だとは知らなかったし、まして、著者のように、子供ながらに作品の底に大人たちの本気を感じた、ってほど感受性も高くないボヤッtyphoonとしたガキンチョだったのでsmile、逆に、大人になった今、この本に出会えて良かったワhappy01。改めて「ハイジ」を見る目が変わるもんねbell


しかし、それだけ熱心に取材しているようなのに、残念ながら“産みの親”・高橋茂人氏についてあまり深く掘り下げて書かれてる印象がないのよねーthink。生い立ちから記述してきたのに、「ハイジ」を制作している途中から、現場との間に距離を置いた高橋氏の真意についてはツッコミ甘しcake


あとがきで著者が書いているように、今だとまさに労働環境はブラックのようだし、これが今に繋がるアニメ制作業界に繋がる“悪しき伝統”の起源になってしまってる感があるとしたら、皮肉なことよねぇdespair


どこの世界でも一緒なことだけど、“クオリティの高い仕事をする人たちcrownshineにはそれ相応の待遇と対価が与えられる世の中であって欲しいものです…think

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2017/10/14

「三鬼 三島屋変調百物語四之続」

三鬼 三島屋変調百物語四之続

今回は、「軽」cloudの巻ですね~。楽しくてカワイイお話もありました~happy01。宮部みゆきさんの三島屋シリーズ第4弾。今巻も、「不思議な現象はヒトの心が生み出すもの」というテーマがハッキリ現れてましたーbell


第一話「迷いの旅籠」。はーdash、なんとも切ない話だったワーweep。誰もが願う、亡くなった愛しい人との再会をテーマにしたもの。クライマックスでの切なさには胸が締め付けられる。“あの世”へと貫太郎が足を踏み出してしまうシーンでは、「あー、やっぱりそー来るかー…」と感じつつ思わずウルウル…weep。でも物語の最後、もしかするとあれは“あの世”への入口ではなかったかも、というほんのちょっぴり希望を抱かせる閉じ方がなんとも秀逸diamond


第二話「食客ひだる神」。めちゃめちゃカワユイお話catface。怪異だけど可愛い。なんちゃってbleah。途中からこのひだる神ちゃんとコミュニケートonできるようになってからが楽しくてたまんないのhappy02。“生意気にもシブシブうんうん”するなんてラブリィ過ぎでしょーーッheart02happy02sign01このあたり宮部さんのお得意の描写よねーhappy01。あざといけどマンマとツボるわたくしcoldsweats01。あやかしと、心優しい弁当屋夫婦との心温まるファンタジーheart01。って書くとものすごい違和感だけどsmile、それを達成しちゃうのが宮部流crown


第三話「三鬼」。今巻一番へヴィbombな話。貧しい寒村の厳しい暮らしが人心を荒廃させ、非人間的な行為にも感覚が麻痺していく恐ろしさが描かれてますshock。そんな中、語り手としてやってくる元江戸家老spade真っ当な人間性武士の矜持とを感じさせて、なんとも複雑な心持ちになる作品でしたthink


第四話「おくらさま」。この巻最終話は、理不尽な「家の守り神」を昇華させる悲しいお話が、今を生きるおちかちゃんとその周りに新しい風を吹き込んでくれる後味のいい一篇cute。新キャラnewとしていとこの“小旦那”富次郎clubと貸本屋の若旦那「瓢箪古堂」の勘一chickが登場。ふたりともこれまたとーぉってもイイ味出してんのよねーcatface。深い傷を負ったおちかちゃんの心にほのかに灯った青野先生への恋心heart02を、おちかちゃん自身の決意として、成就させるのではなく次の段階upwardrightへのステップとしたところが、なんともオトナで余韻のある宮部さんならではの演出でしたconfidentheart02。ほんと、これからのおちかちゃんの成長が楽しみです。富次郎と勘一とのカラミもきっと期待に違わぬものを繰り出してくれるでしょうgood


あー、ますます楽しみになってくる第5巻、発刊はいつかな~~happy01

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2017/08/23

「しぐさで読む美術史」

しぐさで読む美術史 (ちくま文庫)

う~むdespair、いくら一般向けとはいえ、ちくま文庫の割に「読む」ってほどでもない内容でちょっとガッカリ…down。神戸大学大学院人文学研究科教授、美術史家の宮下規久朗氏著book


「走る」とか「踊る」とか、ある“しぐさ”を表題として、そのテーマに合った絵を紹介していくってゆー流れなんだけど、ただそれだけ。「こんな絵がある。それからこんなのとか。」ってカンジ。具体的にそれが何を意味しているのか、といったような深い内容はほとんとナシempty。ぶっちゃけ、ふ~~んgawk、で終わりend


たとえば「肩を組む」の章。「われはアルカディアにもあり」というテーマについて、『アルカディアはギリシャの不毛の土地にすぎないが、ルネサンスの詩人サンナザーロが美しい自然に囲まれた理想郷として詠ったことで、文学や美術のテーマとして流行する。しかし、そんな理想郷にも「死」はいるのだという警告が、 「われはアルカディアにもいる」という死神の発した言葉であった。グエルチーノらによって、墓廟の上に髑髏があり、その下にこの銘が記されている画面が描かれた。しかし、十七世紀フランスの画家プッサンの同主題の作品では、髑髏は姿を消し、碑文の前で羊飼いたちが考え込んでいる情景となり、過去を懐かしむような叙情的な雰囲気を漂わせている。この絵が有名になったことによって、この格言は、過去を懐かしむ者が、私もまたこの理想郷にいたのだと回顧する意味に変わってしまった。』とある。ここで、プッサンはなぜこのような「意味付けの変換」を行ったのか、知りたいところだけど、それについては何も教えてくれないのよねーdespairtyphoon


ただ、著名な画家でもよっぽどのファンでもない限り、知られざる作品なんかを紹介してくれてるところはちょっとばかし面白いけどもgood


あとは、言われてみればなるほど、な記述がいくつか。たとえば『日本や中国では、日常の食事の場面だけを取り上げて表現することはほとんどなく、西洋に特有の現象であった。』とか。だけど『その理由については、拙著「食べる西洋美術史」を見ていただくとして』だってsweat02。もひとつ「おんぶ」の章。『(人をおぶう行為は)連れ去り、救出、いわば効率を求めた緊急の行為であり、西洋では、おんぶはスキンシップや愛情表現とは見なしにくいのかもしれない。』『日本では恋愛譚にもおんぶが登場する。美術でよく見られるのは、『伊勢物語』の「芥川」の段である。男が長年手の届かなかった深窓の女性を夜に背負い出して駆け落ちする。伝俵屋宗達の絵では、男におぶさった女と男が見つめ合っており、二人の愛情が伝わってくる。』そうね~~confident、わたくし、ここを読んでてタカラヅカの不朽の名作crown「花の業平-忍ぶの乱れ-」を思い出したワ~lovely。ゆり(星奈優里)ちゃん扮する藤原高子ribbonを負ぶうノル(稔幸)さん扮する在原業平drama。あーーー、ホントにステキだったワーーーーーheart04heart04heart04。は、置いといてcoldsweats01


その他、へー、そんな絵があるんだーってビックリcoldsweats02したのは「飲む」の章。『フランスのクレルヴォーに修道院を建てたベルナルドゥスは、教会で聖母像に祈っているとき、聖母の胸から乳がほとばしり、口に入るという幻視を体験したとされる。この主題はスペインで好まれ、聖母像から乳が噴き出して聖人の口に飛んでいくさまが描かれる。カーノの絵では、聖人は恍惚として両手を広げる祈りのポーズをとっている。』ほんとに、聖母の片方のオッパイからピューッsign05とかなりの勢いdashで放物線を描いて、聖人の開けた口にチチが注入されてる。コレ、笑っちゃいけないのよねsmile


あ、あと、個人的に如何なものかと思ったのは「あとがき」。あまり不人情なことは言いたくないけど、その内容があまりにも著者の個人的心境が綴られたものだったので、ちょっとヒイてしまった。ブログなどならともかく、お金を出して買っている読者に(不可避的に)読ませるべきではないと思うんだけど…。


とまぁこんなカンジで、それほど勉強になったとは言えないbleah本作の中、ひとつわたくし気に入った部分がありまして。「沈黙」の章。『アンニーバレ・カラッチの作品では、眠っているイエスが起きないように、聖母が幼い洗礼者ヨハネに対してこのしぐさ(口に人差し指を当てる)をしている。「赤ちゃんプニプニしてるね」とイエスの脚を触ろうとするヨハネを叱るのではなく、「めっ」と優しくそっと沈黙を促している。』カワイ~chickhappy01heart02


同じテーマのもの、次はガツンimpactとしたヤツを読みたいワ~sad

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