カテゴリー「書籍・雑誌」の384件の記事

2018/08/13

「ピアニストの脳を科学する」

ピアニストの脳を科学する: 超絶技巧のメカニズム

ぎゃーッhappy02impactsign03マジでスゲーッhappy02impactsign03ピアニストさん、ますますソンケーッcrownshinesign03音楽演奏科学者(…ってナニsmile?)にして上智大学理工学部情報理工学科准教授の古屋晋一氏が、まさしく驚異的fujiなピアニストの脳の秘密shine科学的に分析しためっちゃくちゃ面白い本bellshinebook。これも出版された2012年に買ったmoneybagまま本棚に恭しく収納していたのを取り出してみましたcoldsweats01


「絶対音感」も当時の気分を反映していて面白かったけど、こちらはそれとは比べものにならないほど発展した科学技術を駆使しての著作なので、いちいち目の覚めるようなflaireye事実が語られます。90年代から、脳の大きさ・機能を調べる技術が飛躍的に向上upwardrightupwardrightしたおかげで、ピアニストが何時間にもわたって高速で指を動かせる秘密shine、しかもただ高速に動かすだけでなく、音楽的に優れた演奏が出来る秘密shineなど、脳の驚くべき働きとの関連がセキララcoldsweats02coldsweats02。いやー、もー、すんご~いcoldsweats02coldsweats02。やはり、楽器演奏をプロとして行うほど素晴らしく出来るようになるには、脳的にも身体的にも、11歳になるまでの、一定時間を費やした訓練が必要なようですwink


でも、大人になってからでもある程度は上達upするし、イメージトレーニング効果的だという記述はわたくしを大きく勇気付けてくれましたnote。ありがとうッsign01古屋先生ッhappy01sign03イメトレ頑張りますッhappy02impactpunchsign03(←って、違うからgawksweat02。実際に練習しろっつーのangryannoy。)


そして初見演奏がほとんど出来ないわたくしにとってcoldsweats01、そのテクニックは「ええーッthundersign02そーだったんだーッimpactcoldsweats02sign03」の嵐typhoon。そこにも発達した脳が関わっている、と。これってピアニストだけじゃなく、楽器演奏をする人ならだれでも…ぢゃなくて「初見演奏が出来る人」smile全員に言えることなんでしょーねーfuji。いやーすごーいbell


それとこれまた興味深かったのは、演奏しているプレイヤーの方が、音楽を聴いているオーディエンスよりも、心拍数heart02が高まっているupということ。わたくしなんぞ、スバラシい演奏を聴いてると心臓バクバクheart01、アドレナリン出まくりsweat01、鼻息アラしdash、になるけど、演奏者は更に盛り上がってるupupってことなんですねぇcoldsweats02。めっちゃ情熱的thunderに演奏している姿を見ていても、みなさんクールに見えますけどねぇsmile。そういえば、随分前に能役者のドキュメンタリーをテレビtvで見た時、「道成寺」でシテが“鐘入り”の場面を迎えると、飛び上がる前にはじっ…としているにも関わらず、怖ろしいまでに心拍数heart02が上がるupというシーンを見たのが衝撃的impactで、いまだに忘れられません。芸術を表現するとはそのようなものなのですね。これまたすごい~~~confidentnote


ピアニスト(音楽家)は、やっぱり耳earがいいshine、というのは科学的にも実証されているようで、つまり音の微妙なニュアンスを聞き分ける能力、まさしく“脳の力”が、そうでない人よりも発達しているそうで、それは人間関係におけるコミニュケーション能力の高さにも繋がっているらしい。…のはずだけど、そーでもないヒトもいっらしゃるよーな…smile


出版から6年も経ってから読んだ本だけど、ピアニスト(あるいは他の楽器の演奏者)さんたちにまつわる、まさにわたくしの“知りたい欲求”に、ジャストッimpactsagittariusで応えてくれる一冊でしたgood。これは今後、きっと何度も読んじゃうワ~~happy02

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018/08/09

「絶対音感」

絶対音感

今さらながらのコレだけどcoldsweats01、出版からかなり経って、現在、特に科学的な部分(特にAIの分野)は進歩してると思うけど、面白かった~happy01。1998年刊行の、フリーライター最相葉月氏著book


話題になった頃に買ってずっと積ん読だったのを、自分で楽器を少しやるようになってから読むと、さらに深く楽しめるというもんです。と、積ん読を正当化するbleah。だって、先生とデュエットしてる時に時々聴こえてた「うなり」の理由もわかっちゃったもんねー(『周波数の近い和音の場合は、一つの聴覚フィルターの中に入ってしまうためにうなりが生じて不協和音となります。』)。



「絶対音感」という、持たざる者(わたくしは持ってないデスsmile)にとってはなにやら神々しい響きshineを感じるターム。この本では音楽家、科学者、業界関係者などを取材して、いろんな角度から考察を重ねてます。「絶対音感は、あれば便利だけど(特に現代音楽を演奏するには)、なくてもいい(あると邪魔な場合もある)」というのが一応の結論なんだけど、わたくし的にはむしろ、このテーマをとっかかりにした「人間の聴覚の驚異」と「その聴覚を通した音楽の聴き方」、そこから「人間にとっての音楽とは何か」へと著者の思考が展開されていくところが面白かったですねーhappy01。科学パートで書かれてる文章の意味がイマイチよくわかんないtyphoonところもあったりはするのだけど(わたくしの読解力が足りないせいかsweat02)、全体を通して著者の誠実な姿勢が感じられましたheart02


人間の聴覚のスゴさについて、最初におcoldsweats02sign01と思ったのは『こうした知覚の不思議さが感じられる最も身近な例が、オーケストラで全奏者がA音にチューニングするときである。私たちはそのとき、それぞれの楽器が奏でる音色は多様であり、高さは同じと感ずることができる。チューニングとは音程を合わせることだから当然なのだが、周波数構成がまったく違う楽器同士が同じ高さと感ずるのは、実は聴覚の成せる妙技なのである。』そーゆーことなのねーconfident。さらに、聴覚を始め人間の知覚の原則について。『知覚の原理そのものが、意識しようが無意識であろうが、気になる情報だけから世界を再構成しているということだ。』なるほどflair。現在の日本の社会は、この極端な例が突出してるってコトなのね~despair。やっぱり人間は意識して、自分の視野を広げないといけない、とon



日本の、クラシック音楽の音感教育の歴史や戦時中のエピソードは興味深いものがありました。ほんとに、戦争は何でも利用するんだなぁ~wobbly。「移動ド」だの「固定ド」だのなんて全然聞いたことなかったしbearing。日本では音名と階名が同じ…って、何のことやらさっぱり…typhoon。 戦争に関連して、ものすごく腑に落ちたのがこの記述。『二十世紀の現代音楽の中心的存在であるユダヤ人のシェーンベルクが発したメッセージは反ナチス、つまりナチスが悪用したワーグナー音楽の<絶対性>を調性原理を破壊することによって脱却することだったといわれる。』。ははぁ~think。芸術は押し並べて直前のムーヴメントへのアンチテーゼpunch新しい潮流newを生み出して来たけれど、また社会とも無縁ではいられないもの。しかし、(わたくしにとっては)理解不能の無調音楽にこんな骨太の思想があったとはcoldsweats02sign01またまた無調音楽を聴くときの姿勢が改められましたsmile



今も現役バリバリthunderの著名な演奏家さんから核心に触れる話をしっかり引き出して、というか、千住真理子さんや五嶋みどりさんなど、このテのちょっと怪しげsmileなテーマでもきちんと話をしてくれてるのが、音楽家としても人間としても器が「大きい」感じがしますねーhappy02。お二人とも若くして大変なご苦労をされたという経験がそうさせていて、もはや「絶対音感」も超越していて、「音楽とは」っていう永遠に解けないテーマを探索しているconfident


大物演奏家のエピソードで面白かったのは、ディースカウやカザルスのピアノ伴奏者・ジェラルド・ムーアさん。『私の<絶対音感>が最も能力を発揮していた頃、私としばしば一緒に仕事をしていた声楽家から、ある曲を変イ長調から変ト長調に低く移調してほしいと頼まれた。変イ長調で歌うと、曲の終わりは最高音の変イ音を出さなくてはならなかった。それで彼はたじろいだのである。私は演奏会の前に数時間練習して、この移調を引き受けた。曲のなかほどの数十小節の区間を除くと、そんなに困難な移調ではなかった-しかし、その区間は、厄介な臨時記号がうじゃうじゃうごめく、まったく驚異的な転調の場所であった。本番で私は、心に秘めた自信をもってこの移調曲を弾き始めた。けれども、動きの速い、ダブルシャープやダブルフラットのついている暗い森へ近づいたとき、私はあがってしまった-実際、私は道に迷ったのである。私は深い藪のなかを斧で叩きながらがむしゃらに突き進んだ。藪が切り払われた開拓地にやっとのことで現れたとき、私はギョッとして飛び上がりそうになった。ああ何ということだろう。私は原調より低くではなく、高く移調して弾いていたのである。これは私の同僚を危うく殺すところであった。なぜならば、彼はそのとき期待していた変ト音の代わりに、三度も高い変ロ音を歌わなくてはならなかったからである。私は、そのときの彼の飛び出した目、はれあがった首すじ、そして水から飛び出る魚のように、彼の声域を越える音へととびついた瞬間のものすごい声を思い出すと、何ともいえない不快な罪深い気持ちが未だにじわじわとしのび寄ってくるのを感じる。そして、これが美しい友情の終わりとなってしまったのであった。



今、いろいろな音楽会notesを聴きに行ってるけど、シロートとして、成る程flairと思ったこともたくさんありましたねーhappy01。例えば『同じ人間でも音楽を楽しもうとするときにはピッチ(心理量)で聴き、仕事などで調弦しようとするときには周波数(物理量)で聴く。その注意の向け方によって、同じ音でも聴こえ方が違ってくるのではないか』という神経生理学者の推論とか。さしずめシロートのわたくしは、常にピッチで聴いてるってコトですねsmile



20年も前の著作だけど、わたくしにとってはタイムリーな内容だったカモnote。願わくば、最相さんには最新の科学的情報を盛り込んで、続編を出していただきたいところですhappy01

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018/06/17

「マンチュリアン・リポート」

マンチュリアン・リポート (講談社文庫)

うーむ、このシリーズ、だんだんわたくしにとってはちょっとセンチメンタル過ぎるカンジになってきたワ~despair。浅田次郎さんの中国近代歴史シリーズ第4弾book


前作「中原の虹」の主人公、張作霖が爆殺bombimpactされる事件を題材にした中篇。元々わたくし、このあたりの歴史に疎いのでweep、サスペンス仕立ての事件解明のはイマイチよくわかんなかったcoldsweats01typhoonけど、語り手のひとり、っつーか1機関車train?の「モノローグ」は、先の流れが読めて、浅田文学好きのわたくしもちょっと鼻白んじゃった…gawk


2種類の語り手がそれぞれ現在と過去の時制watchを担っており、それが交互に現れる構成は、しかも語り口が対照的leftrightで、面白かったconfident。人物も懐かしい面々が次々に登場して、彼らがメインストリームで活躍shineしていた頃のことを思い出して、ちょっとワクワクしたりheart04、シンミリしたりweep。このあたり、ほんと相変わらずウマいワーgood


しかし、張作霖の描き方がやはし、マンガ・ヒーロー的過ぎるのも気になるし、シリーズのこれまでの作品はどちらかとゆーとファンタジー色が強いストーリー展開だったので、中華皇帝crown正統性の象徴としての「龍石」の存在もアリだなーと思ってたけど、今回は、現実のナマナマシい事件を扱っているだけに、ちょっとウいてきてるカンジもしてdespair


しかし、著者の、「中国」という“大人”の国に対する尊敬の念diamondと、対するこの時代の日本への忸怩たる思いというものをヒシヒシと感じる一作でしたconfident

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018/04/25

「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。」

鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。

いやー、面白かったーhappy01notes。また一人、専門の話をパンピーにも分かりやすい言葉で語ってくれる人を発見searchしてしまいました~good。国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所主任研究員(長っ)、農学博士の川上和人氏著book


語り口としては、ツチヤ(土屋賢二)先生みたいな感じで、クスッと笑えて、ナイスなセンスsmileを感じさせますねぇhappy01。なんだかんだ言って、鳥への愛heart04がやっぱり深いのよねーcatface。そしてなんといっても川上さんの、自然界への畏敬の念がバリバリthunder伝わって来ますfuji


意外なことに、鳥と人間とは共通点が多いってところが目からウロコ。『二足歩行で、昼行性で、視覚と音声によるコミュニケーションをとり、主に一夫一妻制』。だけど圧倒的な違いimpactがある。『鳥は空が翔べるのだ。』ここに生まれる、未知のものへの憧憬と探求心が川上さんを突き動かしてるんですねーhappy01


鳥たちの働きの中で、なるほどすご~coldsweats02って感じたのは、新しく生まれた島に新しい生態系を作り出す力punch。この本の中でも、川上さんのチカラthunderが入ってるワーと感じたのが、1973年に小笠原諸島の火山の噴火で生まれた西之島新島にまつわる話。『溶岩にまみれた大地には植物が育つ土壌がない。そんな不毛の大地にも海鳥は巣を作り始めるはずだ。彼らは巣材に用いるため海岸に漂着した木片や旧島の植物を新島に運ぶ。巣に堆積した有機物は分解され、糞は土壌に栄養を供給する。海鳥の体に付着した種子は巣を苗床に成長し、湿度と温度の安定した巣内は昆虫のすみかになる。鳥が生態系を拡散するのだ。』なんか、ロマンティックheart02だわよねーcatface。ちなみに鳥によって拡散するものには、食べられた小さなカタツムリsnailもいるんだとか。消化管の中をくぐり抜けて生きて出てくる個体もあるそうでcoldsweats02


これに関係して面白かったのは、絶海の孤島、南硫黄島での調査の準備についての話。南硫黄島は原生自然環境保全地域に指定されて厳しく立ち入りが制限dangerされているのと、島が断崖絶壁で簡単には上陸できないbanってことによって、調査もほとんど行われていないんだけど、川上さんが2007年の調査に参加することになって、その準備がなかなか面白いのよねーsmile。その絶壁を登るための体力作りをあっさり諦めるくだりも可笑しいんだけどcoldsweats01、とにかく、守られてきた原生自然を壊さないために、ありとあらゆる道具を新品newにするのね。それが『難しい特殊な道具は冷凍庫で凍らせ、アルコールで拭き、掃除機で吸い、お祈りをし、可能な限りの対策を施』すそうcoldsweats02。その荷造りにも細心の注意を払い、さらに調査員は、出発の1週間前から種子のある果実appleを禁じられるのだとかcoldsweats02。万が一、うん○に外来種子が残ってたりすると大変だからsmile。川上さんは『人知れず果実絶ちの修行に入り、腹いせに亀田製菓の柿の種を貪る。


川上さんの、自然界への畏敬の念はこの著作の全編に渡って現れてるんだけど、特にわたくし感動したのは、「回転運動recycle」のクダリと色彩の話。「回転運動recycle」をするというのは前に進むためには全くもって無駄のない動きなのに、動物の生態に取り入れられていないのは何故なのか考察した章は出色でしたfuji。首を振りながら歩くニワトリやハトの動きについて、首を振るのではなく、頭を固定して体を移動させて安定した視界を維持しているっていう記述には、マジビックリしたワーimpact。『食物の発見でも捕食者の警戒でも、視界は重要な役割を果たす。しかし、回っていると景色が動き続けて視界が安定しない。これでは獲物も捕食者も到底発見できない。いかに運動効率がよくとも、命の危険は採用を見送る大きな根拠となる。彼らは回らなくて当然なのだ。』しかし、植物界では、様々な種子が翼を持って回転しながら落下する。それは回転によって落下する時間が長くなり、風でより遠くまで種子が運ばれる可能性が広がるから。いやー、ホントによく出来てる~~ぅcoldsweats02



色彩
について。自然界には色鮮やかなものと地味なものとが存在する。それぞれ合理的な理由があり、その説明にいちいち感嘆してしまうのよね~confident。色を作り出すにはコストがかかるけど『色は世界と取引するための順当な手段となっており、これを基準とした戦略が練り上げられているのだ。』一方、褐色や黒など地味な色彩にも意味がある。『自然界には、他者の目にさらされることで磨かれてきた上昇志向の粋たる色彩と、誰に見てもらうためでもない純粋な色の2種類が存在する。どちらもそれぞれに美しく目に映るのだから侮れない。


外来種問題については、すごく分かりやすい例で説明してくれて、またまた超納得confident。『日本にノウサギがいて、月にツキウサギがいるとしよう。それぞれの種をお互いに野生化させうまく共存できれば、日本も月も2種のウサギがいることになる。この場合は各地域にいる生物の種数が2倍に増えただけで、特に問題がなさそうにみえる。しかしその一方で、地域の生物相の独自性が失われていることに気付くだろう。元の状態では、地球と月のそれぞれが異なる独自の生物相を持っていたが、事後には両地域の生物相が同じになっている。たとえ1種も絶滅せずとも、地域ごとに固有の生態系があるという多様性が失われている。外来生物問題は、絶滅なき侵略というグローバリゼーションによる世界均質化の問題を孕んでいるのだ。』なるほろ~~confident


あと、わたくし、無知なもんで、今回これを読んで初めて知ったのが、鳥の先祖は恐竜だったってことcoldsweats02。『鳥が飛翔のために進化させたかのように見える各種特徴は、実は飛ばない恐竜が既に備えていたものだったのだ。飛行という新たな目的にこれらの器官を転用することで、鳥は空を飛ぶという偉業をなしえたのである。』はぁ~dash、生物とはなんと奇跡的なものかshinesign03


さて、こんなに生物愛heart02に溢れた川上さんだけど、新種の鳥shineを日本発で発表するという千載一遇のチャンスを、自らの怠惰のせいで逃してしまったという大失敗を犯していたng。それも正直に告ってるところが好感度高しup


今回始めて読んでみた川上さんの本だけど、その世界では著名な方のようで、他の著作book、特に恐竜がらみも面白そうなので読んでみよーっとhappy01

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。」

鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。

いやー、面白かったーhappy01notes。また一人、専門の話をパンピーにも分かりやすい言葉で語ってくれる人を発見searchしてしまいました~good。国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所主任研究員(長っ)、農学博士の川上和人氏著book


語り口としては、ツチヤ(土屋賢二)先生みたいな感じで、クスッと笑えて、ナイスなセンスsmileを感じさせますねぇhappy01。なんだかんだ言って、鳥への愛heart04がやっぱり深いのよねーcatface。そしてなんといっても川上さんの、自然界への畏敬の念がバリバリthunder伝わって来ますfuji


意外なことに、鳥と人間とは共通点が多いってところが目からウロコ。『二足歩行で、昼行性で、視覚と音声によるコミュニケーションをとり、主に一夫一妻制』。だけど圧倒的な違いimpactがある。『鳥は空が翔べるのだ。』ここに生まれる、未知のものへの憧憬と探求心が川上さんを突き動かしてるんですねーhappy01


鳥たちの働きの中で、なるほどすご~coldsweats02って感じたのは、新しく生まれた島に新しい生態系を作り出す力punch。この本の中でも、川上さんのチカラthunderが入ってるワーと感じたのが、1973年に小笠原諸島の火山の噴火で生まれた西之島新島にまつわる話。『溶岩にまみれた大地には植物が育つ土壌がない。そんな不毛の大地にも海鳥は巣を作り始めるはずだ。彼らは巣材に用いるため海岸に漂着した木片や旧島の植物を新島に運ぶ。巣に堆積した有機物は分解され、糞は土壌に栄養を供給する。海鳥の体に付着した種子は巣を苗床に成長し、湿度と温度の安定した巣内は昆虫のすみかになる。鳥が生態系を拡散するのだ。』なんか、ロマンティックheart02だわよねーcatface。ちなみに鳥によって拡散するものには、食べられた小さなカタツムリsnailもいるんだとか。消化管の中をくぐり抜けて生きて出てくる個体もあるそうでcoldsweats02


これに関係して面白かったのは、絶海の孤島、南硫黄島での調査の準備についての話。南硫黄島は原生自然環境保全地域に指定されて厳しく立ち入りが制限dangerされているのと、島が断崖絶壁で簡単には上陸できないbanってことによって、調査もほとんど行われていないんだけど、川上さんが2007年の調査に参加することになって、その準備がなかなか面白いのよねーsmile。その絶壁を登るための体力作りをあっさり諦めるくだりも可笑しいんだけどcoldsweats01、とにかく、守られてきた原生自然を壊さないために、ありとあらゆる道具を新品newにするのね。それが『難しい特殊な道具は冷凍庫で凍らせ、アルコールで拭き、掃除機で吸い、お祈りをし、可能な限りの対策を施』すそうcoldsweats02。その荷造りにも細心の注意を払い、さらに調査員は、出発の1週間前から種子のある果実appleを禁じられるのだとかcoldsweats02。万が一、うん○に外来種子が残ってたりすると大変だからsmile。川上さんは『人知れず果実絶ちの修行に入り、腹いせに亀田製菓の柿の種を貪る。


川上さんの、自然界への畏敬の念はこの著作の全編に渡って現れてるんだけど、特にわたくし感動したのは、「回転運動recycle」のクダリと色彩の話。「回転運動recycle」をするというのは前に進むためには全くもって無駄のない動きなのに、動物の生態に取り入れられていないのは何故なのか考察した章は出色でしたfuji。首を振りながら歩くニワトリやハトの動きについて、首を振るのではなく、頭を固定して体を移動させて安定した視界を維持しているっていう記述には、マジビックリしたワーimpact。『食物の発見でも捕食者の警戒でも、視界は重要な役割を果たす。しかし、回っていると景色が動き続けて視界が安定しない。これでは獲物も捕食者も到底発見できない。いかに運動効率がよくとも、命の危険は採用を見送る大きな根拠となる。彼らは回らなくて当然なのだ。』しかし、植物界では、様々な種子が翼を持って回転しながら落下する。それは回転によって落下する時間が長くなり、風でより遠くまで種子が運ばれる可能性が広がるから。いやー、ホントによく出来てる~~ぅcoldsweats02



色彩
について。自然界には色鮮やかなものと地味なものとが存在する。それぞれ合理的な理由があり、その説明にいちいち感嘆してしまうのよね~confident。色を作り出すにはコストがかかるけど『色は世界と取引するための順当な手段となっており、これを基準とした戦略が練り上げられているのだ。』一方、褐色や黒など地味な色彩にも意味がある。『自然界には、他者の目にさらされることで磨かれてきた上昇志向の粋たる色彩と、誰に見てもらうためでもない純粋な色の2種類が存在する。どちらもそれぞれに美しく目に映るのだから侮れない。


外来種問題については、すごく分かりやすい例で説明してくれて、またまた超納得confident。『日本にノウサギがいて、月にツキウサギがいるとしよう。それぞれの種をお互いに野生化させうまく共存できれば、日本も月も2種のウサギがいることになる。この場合は各地域にいる生物の種数が2倍に増えただけで、特に問題がなさそうにみえる。しかしその一方で、地域の生物相の独自性が失われていることに気付くだろう。元の状態では、地球と月のそれぞれが異なる独自の生物相を持っていたが、事後には両地域の生物相が同じになっている。たとえ1種も絶滅せずとも、地域ごとに固有の生態系があるという多様性が失われている。外来生物問題は、絶滅なき侵略というグローバリゼーションによる世界均質化の問題を孕んでいるのだ。』なるほろ~~confident


あと、わたくし、無知なもんで、今回これを読んで初めて知ったのが、鳥の先祖は恐竜だったってことcoldsweats02。『鳥が飛翔のために進化させたかのように見える各種特徴は、実は飛ばない恐竜が既に備えていたものだったのだ。飛行という新たな目的にこれらの器官を転用することで、鳥は空を飛ぶという偉業をなしえたのである。』はぁ~dash、生物とはなんと奇跡的なものかshinesign03


さて、こんなに生物愛heart02に溢れた川上さんだけど、新種の鳥shineを日本発で発表するという千載一遇のチャンスを、自らの怠惰のせいで逃してしまったという大失敗を犯していたng。それも正直に告ってるところが好感度高しup


今回始めて読んでみた川上さんの本だけど、その世界では著名な方のようで、他の著作book、特に恐竜がらみも面白そうなので読んでみよーっとhappy01

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018/03/07

「イメージの歴史」

イメージの歴史 (ちくま学芸文庫)

はー、こーゆー著作こそ、広く読まれるべきなのよね~think。主に西洋美術史を研究されてきた若桑みどり氏2010年の著book。以前読んだ「しぐさで読む美術史」が飽き足らず、買ってあった本書を読んでみたら、そのあまりの深さwaveに感嘆してしまったワーcoldsweats02。こりゃ一読では終われないwobbly


「芸術」は“必要不可欠なものではない”とよく言われるけど、“権力者”にとっては“最重要ツール”なのよね。この使い方を熟知しているとその“権力を強化”することができる。まぁ、ナチスがいい例だけど。翻って考えれば、わたくしたち一般大衆はその意味するところをよく理解しておかなければならない、というわけで、この著書を読むべし、デスangrypunchimpact


古代ギリシアの“カノン”から、ヨーロッパ(白人社会)で延々と手を替え品を替え、一貫して引き継がれ続けている“権力強化”の刷り込みツールとしての芸術の機能を、この著作では解説してくれています。ある程度そのあたりの意識があれば、これまでなんとなく気付いていたことも、これだけ例を挙げて詳細に解き明かしてくれると、その緻密さに驚き、それにまんまと乗せられてきた自分自身にも気付くflairって寸法ですsad


若桑さんの専門領域である「ジェンダー論」も鋭いthunder。鋭すぎて、若干辟易してしまう部分もないとは言えないけどcoldsweats01、最終章の、東京23区の公共彫刻について言及している部分では、思わず己の視線を省みてしまいましたdespair。若桑さんもご自身について言われてるけど、公共の場になぜこれほどまでに女性のセクシャルなイメージkissmarkを喚起する像が林立しているのか、その男性目線をいつのまにか“内面化”してしまってる自分がいる、って改めて気付かされるshock


日常をバタバタと送っていると、当然のようにスルーしてしまったり何も考えずに受容してしまっていることも、時々立ち止まって考える必要があるのよね~~think。そんな時間、取れてるかしら…bearing

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018/02/12

「プロ野球審判 ジャッジの舞台裏」

プロ野球審判 ジャッジの舞台裏

これを読むと、今後のプロ野球baseballをみる時の目線eyeがキャッチャーの後ろにも行くこと必至ッsmilesign01野球観戦をする時の視野が広がる一冊good。元プロ野球審判員で、現在日本野球機構技術委員の山崎夏生さん著book


ご自身の大失敗や恥ずかしい思いをしたことなども包み隠さず記しているところが好感度大happy01upsign01こういう本を読むと必ず思い出す、元宇宙飛行士の毛利さん。毛利さんの「オレ様自慢」は破壊的impactだったなぁ~coldsweats01。人間としての器の大きさを測るバロメーターよね~~smile


そんな等身大の記述が続くのだけど、やはり「野球baseball大好きheart04」の思いだけでここまで根性入れて働き続けるってゆーのは(まだ現役でいらっしゃいますが)、そうそう出来るものでもないと思うのよねーbearing。スゴイですよぉfuji。ご家族のご心配も並大抵ではなかったでしょうsweat01


で、こーやって、プロ野球審判員へファンの視線eyeを向けさせ、審判員の地位向上upwardrightに努め、日本プロ野球の魅力増大sunに一役買っていらっしゃるんですから、本当にご立派ですcrown


北海道大学ご出身で、北海道とのご縁も浅からぬ山崎さんspade、これからもいろいろ面白いお話聞かせていただきたいものです~happy01note

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018/01/10

「獣の奏者」5~8巻

獣の奏者(5) (講談社青い鳥文庫)

いや~、前半も面白かったけど、この後半、格段に深みが増して驚きの展開にーーcoldsweats02sign03


ラストのカタストロフィを読んだ後には、やはり「人間とは同じ間違いを繰り返す生き物」なのだと感じると同時に、しかしそれには「真実が隠されていた場合」という注釈がつく、ってことにも気付くのねflair。世界を破滅へと導いた原因がなんであったかを探求し、それを秘匿することなく正しく継承していけば、同じ間違いを犯す可能性は低くなるはず…、という作者の信念が伺えますconfident


正しく知識を使う”、これこそが「人類の英知crownなのであるとするならば、今、この地球上で「国家」という縄張りの間で行われていることの、なんと小さく卑小なことか。「国家間」のみならず、「国家内」でも「秘密保持」の名の下に永遠に「真実が隠され」ようとしている。“優秀な自分たちだけ秘密を保持する権利がある”という考えは傲慢であると同時に恐るべき無知でもあるthink。こんなことを続けている限り、この世界から「戦争」bombimpactというものはなくならないだろうなーngwobbly


主人公・エリンちゃんの周りの世界を描いた前半から、後半は一気に世界が広がり、リョザ神王国とその周辺に位置する国々との関係が描かれていく。そして、唯一王獣を扱えるエリンに対し、周辺国との戦争に王獣を使うよう命が下される。当然、エリンちゃんは自分の使命と、家族を守らんとする意識の間に挟まれ、激しい苦悩に苛まれるようになる、ってとこがもう圧倒的に深いのよね~wave


そして人間の手によって、醜い目的のために不自然に増やされ、不自然な生態を生きなければならなくなった動物たちを、戦争の武器として使おうとする人間たちは、その目的の醜さゆえに自らの身を滅ぼすことになるdanger。やっぱりこれって、核兵器をはじめとする軍事兵器というもののアナロジーでもあると思うのよねーthink


最終的には、多くの犠牲とひきかえに王獣と闘蛇は野生に還り、世界は破滅の一歩手前で踏みとどまったけど、結局のところ「人間」も、その行動原理の根底にあるのは「恐怖shockなのかと思うとやっぱりムナシい気持ちになるものですgawk

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017/11/29

「獣の奏者」1~4巻

まさしくハイ・ファンタジーの王道crownsign01ウワサには聞いていたearpaper上橋菜穂子さんshine、初めてその作品を読んでみたらば、そのガッチリと緻密diamondに構成された世界観に感服いたしましたーfujishine


テーマは、人間とその他の生き物との関係、人間の欲望、戦争などなど。優れたファンタジーは現代を生きるわたくしたちにも、考えるための多くの示唆flairを与えてくれるものですconfident


物語の最初は、雨降る深夜rainに、主人公エリンのお母さんが、獣ノ医術師として「闘蛇」の様子を診に行き、家にそっと戻ってくるシーンから始まる。雨の夜、この、圧倒的に暗くて冷たく湿った感じからの幕開きがなんともわたくし好みcatfaceで、すでに最初からガチッimpactrockと掴まれてたのよねーhappy01


エリンのお母さんが、闘蛇衆の獣ノ医術師として失策を犯してしまった罰で、「闘蛇」に食い殺されてしまうシーンcoldsweats02や、エリンちゃんが育てた王獣リランが初めて闘蛇と闘うthunderシーン、ラストのガチバトルimpactなど、大人が読んでも震え上がるほどの残酷で恐ろしい情景なんだけどshock、上橋さんの筆致は、実に平易で激しいところがない。子供でも読める易しい、穏やかな教養を感じさせる文章でありながら、この戦慄すべき場面bombをものすごい迫力脳裏に喚起させる作家には、わたくしこれまで出会ったことがないsign01本当にビックリだワーcoldsweats02impact


取った人間に決して懐くことがない王獣との間に意思の疎通まで可能にしてしまったエリン。これは、彼女の飽くなき好奇心と探究心searchから自ら学び取ったpencil技のお陰なんだけど、師匠であるエサル師から『すべての生き物が共通して持っている感情は<愛情>ではない。<恐怖>よ。』と言われる。物語の中でもエリンとリランの人間っぽい感情の交感があって、わたくしたち読者もなんとなく甘い心地好さspaにシバシ浸ってしまうのだけど、上橋さんはそんな“スウィートな幻想”をコッパミジンに打ち砕くthunderpunchbomb。そーよねー。んなワケないわよねーweep。そんなキビしさthunderを何度もこれでもか、これでもかと描いた末のラスト・シーンend。ヤバ過ぎるbell。「すべての生き物が共通して持っている感情は<恐怖>」かもしれないけど、親子の<情愛>もやっぱりあるのではないか、ってことが描かれてるのよねーconfident。このシーンを地下鉄subwayの中で読んでたんだけど、思わず目がシバシバシバシバ…weep


もうひとつ、わたくし、おぉ…と思った部分がありました。王獣を操れるということがバレた後、リョザ神王国の人間に王獣を使って王国を守るよう告げられた時、エリンはこう考える。『(王獣で闘蛇を制御する。音無し笛で、王獣を制御するように…。)なるほど、人という生き物は、こういうふうに思考するのだな』と。これ、まさしく、戦争の武器bombの話。核兵器を始め強力な軍備を持つことによって相手を威嚇し、制御しようとする思考danger。賢明なる王国の王は闘いを避け、融和の道cloverを選ぼうとするんだけど……。



ここまでの展開では、王国のかたちにまとまりが着かないまま終わってしまっているので、この「武器問題」や、「歴史は繰り返される問題」(王獣と闘蛇が武器として使われ、国が滅びたという)がどのように昇華されるのか、続きが気になるところ。


そして実はもうひとつ、わたくし、すっごく感銘upを受けた一文があったのよね~happy01。リョザ神王国はどうやら代々女性noteがトップになるようなんだけど、この物語では「女王」ではなく「」と記述されているのが、すっごく嬉しくてhappy01。先代の真王(ヨジェ)、ハルミヤが難しい問題に決断を下す場面で『彼女は王であった。』ジェンダーフリーのお手本ッfujisign01カックイーッimpacthappy02sign03


そして面白かったのは、カザルム学舎schoolでのエリンの親友、いつも前向きで陽気sunなユーヤンribbon。彼女には訛りがあるってゆー設定なんだけど、それが“関西弁”。エリンやユーヤンがしゃべってる言葉は日本語ぢゃないと思うんだけど、“関西弁”。いいワ~~smilesmile


ということで、続編に突入しますdashsign01

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017/11/04

「ハイジが生まれた日」

ハイジが生まれた日――テレビアニメの金字塔を築いた人々

これ、読んでると今すぐ「ハイジ」のビデオcdを見たくなっちゃう~catface。長年、アニメ作品「アルプスの少女ハイジ」について関係者の話を採取してきたmemopencilちばかおり氏の著作book。サブタイトル「テレビアニメの金字塔を築いた人々」。



わたくし自身は、もちろんこの作品のことは知ってるし、再放送などでチラと見てた記憶はあるけどcoldsweats01、これほどまでに大切に大切にheart02作られて来た作品だとは知らなかったし、まして、著者のように、子供ながらに作品の底に大人たちの本気を感じた、ってほど感受性も高くないボヤッtyphoonとしたガキンチョだったのでsmile、逆に、大人になった今、この本に出会えて良かったワhappy01。改めて「ハイジ」を見る目が変わるもんねbell


しかし、それだけ熱心に取材しているようなのに、残念ながら“産みの親”・高橋茂人氏についてあまり深く掘り下げて書かれてる印象がないのよねーthink。生い立ちから記述してきたのに、「ハイジ」を制作している途中から、現場との間に距離を置いた高橋氏の真意についてはツッコミ甘しcake


あとがきで著者が書いているように、今だとまさに労働環境はブラックのようだし、これが今に繋がるアニメ制作業界に繋がる“悪しき伝統”の起源になってしまってる感があるとしたら、皮肉なことよねぇdespair


どこの世界でも一緒なことだけど、“クオリティの高い仕事をする人たちcrownshineにはそれ相応の待遇と対価が与えられる世の中であって欲しいものです…think

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧